「猫猫、あんたは運がいい。相手がやたらしつこくてねちっこくて諦めが悪い人で、なおかつーー」
「--あんたが根負けしてやるって思った程度にいい人で」
2023年2月25日発売の、薬屋のひとりごと13巻読了しました。
小説家になろうでも追っていますが、加筆修正が多く文庫版で一段階グレードアップしてくる薬屋のひとりごと。
今巻も余韻の残る読み応えでした!
以下、伏線・感想をまとめたネタバレありの記事になります。
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あらすじ
西都から1年ぶりに中央に帰ってきた猫猫たち。
- 猫猫が返ってきてもなぜか羅半宅に居候する姚・燕燕。
- 妓女引退を考える女華
- 馬閃の恋について画策する麻美
- 蝗害の災禍にたった一人立ち向かい、生きて戻った羅半兄
など、西都でも中央でも、それぞれが何かを考えて生きています。
猫猫は壬氏の思いに対して素直になる道を選びました。
しかし官僚の中には玉葉后の息子が東宮にふさわしくないからと、他の皇族を立てようとするものも。
中には数代前の皇族の血筋を辿ろうとしているものまで……
都の人々のそれぞれの思いが大きく動いていきます。
ここまでがあらすじ
登場人物が多く、西都から戻ったため懐かしい顔ぶれも多い今巻。
あと個人的には恋愛多めの巻だと感じました。
前巻まではそれどころじゃなかったからね…
以下、気になった伏線・特に印象深い箇所をピックアップしていきます!
【伏線】王芳殺人事件
羅漢の仕事部屋で殺された王芳という男。
殺人犯も殺害理由【痴情のもつれ】もハッキリ判明しますが、それだけでは終わらない様子です。
(3代前、皇籍を外される前に平民と子を作った)他の男系皇族が存在するという噂があり、ワンファンはそれを探っていた……という話が出てきます。
【伏線・ご落胤の謎】女華という花
書き下ろし!
緑青館の三姫の中では比較的登場が少なかった『女華』にスポットが当たります。
緑青館の三姫の一人。
生みの女親は妓女。男親の方の特徴は「見た目がよい・獣くさい・筋くれだった手をしている」男。
皇族しか使用の許されない『華』という字を使って商売をしている。
若手官僚(通称:柳野郎)が連れてきた芳という男が、女華が「皇族の血筋」であるかどうかに興味を示します。
そして商売道具として使っている「半分に割れた翡翠の牌」を売ってくれないかと言い出します。
勿論断りましたがこの男、女の趣味や名前の特徴から、殺された「王芳」は同一人物ではないか……という疑惑が出てきました。
「皇族のご落胤」を探していた為、痴情のもつれに見せかけて消された線がある……?
となると、女華の種が本当に皇族なのか、というのが重要になってきます。
ヒント、或いはトラブルの種になりそうなのは玉牌の「残り半分の在りか」。
そしてこの一件に関しての猫猫の見解がこちらです。
「皇族を探しているとか何がやりたかったんだか」
皇族のご落胤といえば、天祐の実家に繋がった。
「もしかして、女華小姐と天祐って親戚だったりして」
女華小姐は盗賊だと言っていたが、盗賊じゃなくて狩人だとしたら辻褄が合う。
玉牌を削ったのは、皇族であると同時に処刑された罪人の血筋であることを隠すため。牌が割れた理由はわからないが、獣くさくて筋くれだった手の男が猟師なら頷ける。
この文だけだと何故ここで天祐?となるので天祐のおさらいをしましょう。
11巻で、天祐は元々猟師の家で、自らを「華佗」の子孫だと言っていることが明らかになっています。
ワンファンは女華を探るだけではなく、宮中でも皇族のご落胤を探していた……それは天祐で、西都に行っていた為見つからなかった……?
そういうことでしょうか?
ちょっと出来すぎた話だよなぁ……
これが正しいとなると、「ご落胤が宮中にいる」という情報を突き止め、リークした人物がいるわけです。
天祐が「皇族のご落胤」だと知っている人物なんて、そうそういるとは思えませんが……
猫猫に教えてくれたのは楊医官、連れてきたのは劉医官だけど……
流石に疑うのは早計ですね。
【薬屋のひとりごと】緑青館の三姫・梅梅・女華・白鈴まとめ【原作最新刊まで】
女華と妹分(花街の実情)
書き下ろし!
白鈴、左膳……懐かしいと感じる名前が出て、帰ってきたという感じがします。
反抗期という趙迂が気になるところです。
しかしそれよりビックニュースなのが
「身請けされたわよ」
「えっ⁉」
なんと三姫の一人、梅梅小姐の身請け。
相手はなんと棋聖でした。羅漢の紹介だとか。
そんな所がつながっていたとは……
名前があるような登場人物なら、また会う可能性は結構ありそうで少しほっとしました。
でも「私が出ていく際は、ちゃんと踊るのよ」(2巻より)は実行できなかったよ…
そしてここで猫猫の恋愛についても、女華小姐から一言あります。
「猫猫、あんたは運がいい。相手がやたらしつこくてねちっこくて諦めが悪い人で、なおかつーー」
「--あんたが根負けしてやるって思った程度にいい人で」
気質が似ている妹分への、からかい無しのエール。
とても素敵でした。
女華が口にした自らの過去への戒め「貰うだけで終わらないように」
……このエピソードが気になるところです。
薬屋は一人一人のストーリーが濃く、そこが面白い所ですよね。
馬の一族
まさかの馬良と雀さんの子供登場。
仕事が仕事なので愛着を持たれないよう、触れないようにするのが雀の愛情です。
薬屋のひとりごと・雀(チュエ)の正体は?母親との因縁・馬良との仲も
そして忘れてはいけないのが馬閃の恋路。
「彼女のことを何も知らないで勝手なことを言わないでください!彼女は春を待つ小さな花のようなけなげな人なんです!」
こんな弟を心配した麻美は、外堀を埋めようと画策しだします。
まぁ主上は知っているし、大丈夫そうだけど……
それは麻美が知る由もないことです。
【結婚できるか?】馬閃と里樹の恋路まとめ【薬屋のひとりごと】
羅半兄、検討の記録【阿兄正伝】
まさかの!羅半兄視点記録!!
西都行き一番の功労者。一人で農民として蝗害と戦っていた戦士、羅半兄。
「そうねえ。やたら農民の一人が役に立ったとかわけのわからない報告が多かったわね」
という麻美の言葉からもわかる通り、本物の救世主です。
彼の視点で、忖度の無い外から見た西都の政治と蝗害実態が記されます。
毎回季節と天候が最初に書かれますが
梅雨、蝗天
このセンスに脱帽
そして淡々とした理知的な報告の中に
どうにか、どうにかしないと。
もがく姿。
羅半兄ーーーー!!!
もう本当に格好いい男です。幸せになってくれ!!
……という想いが溢れましたが、それが通じたのかなんと!!彼に恋愛フラグ(?)が立ちます!!!
羅半争奪戦!?三番登場
濃い~~~新キャラクター『三番』が登場しました。
羅家の使用人です。
「私は羅半さまを愛しております。彼のためにはなんでもするつもりです。(略)」
「(略)だから、私は三番でありますが羅半さまの二番目でも問題ありません。(略)」
猫猫が噴き出すのも仕方ない発言ですね
問題なのは(燕燕曰く)姚も羅半に対して『気の迷い』が生じている事です。
まさかの羅半取り合い……
個人的には三番の方が性格的なつり合いがとれているような気がするのですが、どうでしょう?
何にせよ、羅半は猫猫の恋愛事情より自分の方をどうにかしなければいけませんね(笑)
そしてその恋愛話からつながる羅半兄のフラグ(?)
姚:同時に、羅半兄は燕燕の言う(姚の)「理想の旦那さま」に近いのではと思ったが、口に出すことはなかった。
全力で「こっちにしろ」と叫びたい
フラグだとしても姚と立ったのか燕燕と立ったのか分かりませんが、
追記:判明しました!
薬屋のひとりごと14巻【ネタバレあり感想】
羅半兄も結婚したいと言っていますし、幸せにしてあげて欲しいですね。
ところで燕燕の恋愛……ではないですが、彼女に好意を向けていた下の男ですが、少し不可思議な文面がありました。
天祐の不可解な発言
一時期はこの二人(姚と燕燕)が仲たがいしたらどうなるかと、いろいろとちょっかいをかけたこともあった。今は他に面白いことがあるのでどうでもいい
かなり不確定で謎めいた地の文です。
- 姚だけでなく燕燕もどうでもよいのか?
- ちょっかいをかけていたが、燕燕に恋愛的に興味があるわけではなかったのか?
- 面白いこととは?
天祐は前の巻でかなり素性が分かったかと思われましたが、何か底知れない考え方や事情が眠っている……そんな気がしますね。
関連記事↓
【皇族のご落胤!?】医官・天祐を徹底考察【薬屋のひとりごと】
姚の複雑な心情
猫猫は面倒くさそうに、緑色のどろどろの上に申し訳程度に赤いくこしをのせ、ストローを挿した。
雀は不味そうに薬を飲む。
そのやり取りが羨ましいと思う姚は不謹慎だろうか。
自分のほうが猫猫と付き合いが長いにも関わらず、仲の良い雀と猫猫に嫉妬する姚。
もしかして姚は「踏み込んだ家族のような関係」に憧れを抱いているのでは?と感じました。
燕燕が居ますが彼女は友人。それも一歩引いた態度を取っています。
愛情に飢えているのかな?
そうだとすると、羅半に対してもハッキリ恋情というわけではなく、一年近く過ごした彼の内面に踏み入りたい……そんな想いがあるのではないでしょうか?
雀の主人が明らかに!
「雀さんの本当の主人は阿多さまということでよろしいでしょうか?」
ついに雀さんの主人が明らかになりました。
「壬氏を幸せにする」という仕事内容からしても、考えられるのは主上か阿多くらいなので、そこまで驚きはありませんね。
ただ、その指令が過去の後悔からのものだというのは新鮮でした。
是非読んでいただきたいです。
この人も色々あったんだなぁ
薬屋のひとりごと 阿多妃(アードゥオヒ)の正体は?主上・壬氏・水蓮との関係も
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まとめ
西都から戻ってきたら、こっちはこっちできな臭いなぁ……という感じの巻でした。
相変わらず1巻での情報量が多いですが、今回グッと株を上げたのは羅半兄と女華、そして応援したいのが姚という感じです。
初登場の三番キャラが濃いですが、姚さん頑張れ!
猫猫が結婚に前向きになっているのが嬉しいです。
殺人事件に対し、今までより積極的に発言したのはどういう心境なのか。壬氏に損をさせない為の立ち回りなのか。
いつか何を考えているのかが知りたいなと思います。
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