「私には役目があるの。それは止めないで」
2015年10月31日発売の【薬屋のひとりごと4巻】。
業に捕らわれた一人の娘の巻です。
怒涛の伏線回収と、泣きたくなるようなラストで余韻の残る一冊!
めっちゃ濃い…
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ざくっとあらすじ
今巻は幽霊、逆子、拉致。
そしてページ数の4分の3は猫猫が『拉致』された先の出来事です。
壮大な『子(し)の一族』反乱の物語。
幽霊に悩む【里樹妃】
里樹妃を虐める侍女たちに、壬氏が灸をすえます。
浴室に幽霊がでると怯える里樹妃。
猫猫が調査したところ、幽霊の正体は魔鏡でした。銅鏡を作る際、表面に凹凸があると何かを映し出すそうです。
映し出されたのは、里樹の死んだ母親に似た顔。
涙する里樹妃。
然し感動的な空気を侍女たちはぶち壊します。
壬氏は侍女の簪を見て、あることに気が付きました。
「上級妃の紋がついたものを一侍女風情が身に着けるのは、分不相応だと習わなかったのですか?」
「下賜」の名目で里樹から奪ったもの。
麗しの君のお叱りを受け、崩れ落ちる侍女。他の者たちも心当たりがあったようです。
これでいじめも緩和されるといいな~
逆子?【玉葉妃】の出産
玉葉妃の赤子が逆子(つまり出産時の危険が高まるかも)ということで、猫猫の推薦にて羅門(ルォメン)が召喚されます。
玉葉妃は無事皇子(東宮)を生み、皇太后になりました。
猫猫【拉致】に至る理由
「深緑」
高い声だった。男の割には。
「気を付けたほうがいい」
低い声だった、女の割には。(略)
一度死んだ女、翠苓がそこに立っていた。
『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』第16集の見本誌が届きました✨
16集は2/25頃発売です🐱猫猫と、物語の鍵を握る謎の女・翠苓が目印!!🍃
書店特典もあります👀発売中のサンデーGX3月号も『薬屋』が表紙&付録です🌸
どちらもお見逃しなく!!#薬屋のひとりごと #サンデーGX pic.twitter.com/0K5rgCjG7Y— サンデーGX編集部 (@SundayGX) February 21, 2023
蘇り女官、翠苓が再登場します!なんと宦官に成り代わり、後宮に忍び込んでいました……
再会に至る発端は、猫猫の調査です。
羅門がかつて張り紙していた《毒おしろいの注意喚起》は何故剥がされているのか?
後宮で一番年配である、診療所の深緑(シンリュ)を探ります。
後宮に住まう悪意はここにあったのだ。
深緑ら診療所の者は、先帝の毒牙にかかったもの。先帝はロリコンだったため寵愛は一瞬でした。
しかし一度手にかかれば外には出られないのが、後宮という場所です。
寵を得て幸せになろうとする妃たちが憎い。
だから毒おしろいの注意喚起を外し、キャラバンに堕胎剤の材料をそろえた……と猫猫は推理します。
とりあえず、問い詰めずに去ろうとする猫猫。
かなり大事(おおごと)だからね…
しかしそこに現れたのは翠苓でした。
彼女は針を持っており、子翠を人質に。
そしてトドメの
「蘇りの秘薬、その作り方を知りたくないか?」
わかってるなぁ……
逃がしてくれる気は無いようです。
猫猫は翠苓に着いていきます。
子翠の正体とは?
道中、蛇に怯える翠苓をかばう子翠。仲の良い姉妹のような二人。
子翠は翠苓と共犯でした。
そして、【子翠】は翠苓の幼い頃の名からとった偽名。本名は……
「お母さま、子供の悪戯のようです。早く行きましょう」
普段のあどけない口調は微塵もなかった。(略)化かされたと思った。そう、実感した。
楼蘭。上級妃・楼蘭です。
ここ好きなんよ🥺
楼蘭妃の視線が動くところ… pic.twitter.com/723LvnmYJp— もも💜💙 (@mooooo_317) January 30, 2024
はいぃ~~~!?
虫好きお転婆少女=無表情派手派手上級妃。とんでもない女優です。
どこに連れていかれるの?
猫猫が連れてこられたのは楼蘭の
故郷。森の中の隠れ里でした。
この里は豊穣の神である狐神を信仰。もうすぐ祭りもあるようです。
真っ白な上着と赤いスカート、紅白の禱君だった。その上に狐の面をかぶり、芒や稲をつけた提灯をつけて歩く。
後宮とは全然違う雰囲気!!
諸悪の根源・毒親【神美】
しかし、状況をまとめる前にやってくる男女5人ーー
「!?」
その瞬間、ぱさりと猫猫の髪が落ちた。壁に刀が突き刺さり、びぃぃんと刀身が揺れている。
楼蘭の母親、神美(シェンメイ)の登場です。
- シンデレラの継母と白雪姫の女王を混ぜたようなイメージ
- 不老の妙薬を欲しがっている
- 折檻が趣味
- 夫の横の部屋で男娼と遊ぶのが日課
うっわ………
明らかにヤベェ奴です。
神美におびえる翠苓。楼蘭はとっさに猫猫は薬師で、三十路を越えていると嘘をつきます。
猫猫は「不老の妙薬」を作ることを命じられ、難を逃れました。
猫猫の正義感
響迂が猫猫に逃亡を進め、それがバレて翠苓が(形式上)叱っていたところ…
運悪く神美に見つかってしまいます。
言いがかりをつけて翠苓を水牢に入れようとする神美に、
つい言ってしまう猫猫。
「くそばばあ」
よく言った…!
全力で神美の怒りをかった猫猫は、蠆盆(たいぼん)という処刑を受けます。
薬屋のひとりごと
初回3冊1980円が198円に。▼
蠆盆(たいぼん)
狭い牢の中には、百を超える蛇と毒虫がいた。
古代の狂王が作った処刑方法。翠苓が蛇恐怖症の原因です。
しかしそこは猫猫。ついでに神美の処刑レパートリーから蠆盆をピックアップしたのは楼蘭です。
笄(こうがい)を錐に、壬氏から貰った簪を小刀代わりに、まず危険な毒蛇を殺した。
あーーー!壬氏様の簪がぁ!
冬で蛇たちの動きが鈍かったことも幸いしました。
翠苓の命で見張りの男が助けに来た時には、猫猫は蛇を食べていました。
強すぎる…☆
【楼蘭と猫猫】最後の再会
もし、これだけの規模で騒ぎを起こしたなら、どうなるだろう。
一族郎党、みんな、生きていられないだろう。それが子供であろうと赤子であろうと関係なく。
猫猫が次に向かったのは地下。そこは劣悪な火薬製造工場でした。
火事・一酸化炭素中毒の危険に悪臭…
そこに、現れた楼蘭。
全てを終わらせる前に、地下労働者たちを逃がします。
金品を投げ渡し、火薬に火をつけた楼蘭。逃げる時に転び、猫猫と再会します。
「あれ?なんで猫猫がここにいるの?牢屋は?」
髪をざんばらにした楼蘭がきょとんとした顔をした。いや、そこにいたのは楼蘭ではなく子翠に見えた。そんなあどけない顔をしていた。
楼蘭についていく猫猫。連れていかれた部屋では5人の子供たちが眠っていました。起こして砦が落ちる前に避難しないと……
しかし猫猫は異変に気付きます。
「息はないわ」
楼蘭が毒をジュースに混ぜて飲ませた後でした。響迂は知りつつあおった模様。
………
ワケもわからず絞首台にのぼらされるよりは…
何もかも辛そうな楼蘭。それでも猫猫の優しさを拒否します。
「私には役目があるの。それは止めないで」
ならば…と猫猫は壬氏に貰った簪を、楼蘭の襟につけます。
「いつか返して。それ貰いものだから」
元の主に似て、粘着質に戻ってくるかもしれない。
そんな猫猫らしくない願掛けでした。
「あとは、頼んだから」
これが、楼蘭が猫猫を連れてきた理由。
壬氏による【子の一族】制圧
ついに再会です…!
壬氏の顔が呆れて歪む。なんだかこの表情は落ち着くと思った。見慣れたその反応に懐かしさを覚える。猫猫もふっと口元が緩んだ。
「東宮」と呼ばれた壬氏。猫猫は壬氏の身分を知ります。
子一家集合
宮中から逃亡していた子昌。
轟音(壬氏らの奇襲)が響き、事態を確認しに行きたいけれど、いけない。
壁を一枚隔ててたところで、享楽にふける妻。
その部屋を通らなければいけない…
ここ十数年、眠ろうとしても眠れなかった。
なんか一気に可哀そうになったよ…
しかしそう言ってはいられないため、神美の部屋を通り過ぎようとします。
そこに現れるボロボロの楼蘭。
楼蘭は毅然として【神美と一緒に子供を放り出して快楽にふける女】をひっぱたき、棚に縛られて閉じ込められていた翠苓を助け出します。
翠苓ーーー!そんなとこに…
「勝てぬ戦とわかっていたはずです。責任を持ってください」
娘たちの現状に気付けなかった。
ふがいなさを痛感する子昌。
楼蘭の一言にぐっと拳を握りました。
覚悟を決めたか…?
一途な男・子昌の最後
子昌は、フェイファを発砲したことで剣を刺され、あっけなく最期を迎えます。
悪役を演じきって、息絶えました。
先帝に頼まれるまで、妾の一人も囲わず、ずっと独り身を貫いていた。馬鹿なくらい純真な男は、幼いころに決められた婚約者にべたぼれだった。
子昌は一途な男でした。
神美の父が奴隷交易(禁止事項)をして女帝に目をつけられた為、神美は質として後宮に入れられます。
それでも子昌は婚約者を取り戻すために頑張りました。
奴隷交易に代わる事業として後宮拡大を提言。
何かを廃止するには代わりが必要。壬氏も認めているところです。
後宮に抜け穴を作り、神美を逃がそうとすらしました。
けれど想いは最後まで届きませんでした。
最期は小物・神美の死
その後、壬氏は楼蘭により神美と引き合わされます。
くくくっと楼蘭が笑う。あざけるように笑う。
「なにがおかしい?」
「だってお母さま、まるで小物だもの」
この一言で試作品フェイファの引き金を引いた神美は、暴発で死亡しました。
「お父さまが死んだんですよ、涙の一つくらいこぼしてください。ずっとお母さまを待ち続けていたんですよ。涙をこぼしてくれたら、私はあんなこと言わなかった」
しかし嘲りの言葉を投げかけた楼蘭は確信犯でしょう。
神美のとんでもなさを理解している割に、親思いの行動をとっていた楼蘭。
そんな行動も、ここが限界でした。
【薬屋のひとりごと】神美をネタバレ深堀り!最後や子昌への感情は?
楼蘭の最後
重要な情報と引き換えに、楼蘭から壬氏への頼みが二つ。
- 一度死んだ者は見逃すこと。
- 母が憎んでいた壬氏の顔を傷つけること。
前者は言質を取り、後者は勝手に実行します。
白い雪が舞う。そこは、砦の屋上だった。
袖を振るい、くるりくるりと楼蘭が舞う。黒い髪を揺らし、舞いながら粉雪を浴びる。「あはははははは!」
狂ったような振る舞い。しかし目だけは理性をたたえています。
楼蘭の胸にその弾が当たった。ふらりと、楼蘭が後ずさる。その顔に苦痛が広がる。
壬氏(皇弟)を傷つけたことで撃たれ、彼女は砦の屋上から飛び降ります。
それが、楼蘭を見た最後だった。
響迂は死んでいない!生き返った子供たち
死んだ子供たちの元で眠る猫猫を、壬氏が訪ねます。
壬氏の傷について、猫猫からは意外な感想が。
猫猫は、ふっと息を吐くと、ほんのり唇をほころばせる。
「前より、男前になったではありませんか」
これは嬉しい!!レアすぎるデレ!!!
うっかり火が付いた壬氏様が猫猫に迫りますが…
がたっと物音。
死んだはずの一人の子供に呼吸が確認でき、のちに全員蘇生します。
彼らが飲んだのは蘇りの薬でした。
「叶わぬ願いは、底に沈み、恵みの糧となる」
ひとりごとのように子翠が言った。
「虫は冬を越せない、ただその子を残すのみ」
楼蘭(子翠)が猫猫を誘拐した理由は「子供たち」を託す為でした。
遺体ではなく、生きた子たち
上記の発言から、楼蘭が元よりそのつもりだったと見て取れます。
そして子たちは「一度死んだ者」。壬氏が見逃すと約束した者たちです。
気になる後日談
其々の行く末
- 響迂……趙迂(チョウウ)に名前を変え、緑青館で面倒を見ることに。記憶喪失の為、元気に過ごしています。
- 他の子供たち&翠苓……阿多が引き取りました。南の離宮で匿います。
- 羅門……玉葉妃(妃に昇格)の出産が終わっても、宮中で働くことに。
- 猫猫……お役御免で花街に帰還。
ビックリするほど状況が変化した巻だね……
涙する猫猫
小蘭からの手紙が届きます。子翠の分も一緒に受け取る猫猫。
『いつかまたあいたいな。また氷菓が食べたいよ』
つつっと頬に生暖かいものが流れた。ぽたりと、紙面を濡らし、文字が歪む。
子の一族は処刑されました。
猫猫は楼蘭の遺体が見つからないようにと願います。
壬氏×猫猫(希少ないちゃつきパート)
花街に現れる壬氏様。猫猫に売った恩のお代をいただきにきました。
何にするか考えた末、猫猫の首に噛みつきます。
首へのキスは【執着心の現われ】
壬氏様らしいですね。
途中で趙迂にジャマされてご立腹でしたが、ちゃっかり膝枕で眠りました。
楼蘭は生きている!?
年明け数日後の話。都から遠く離れた港町の商人視点。
ザワザワザワ(いきなりなんだ…?)
「ねえ、小父さん、これって蝉?」
玉の蝉に興味を持った、薄汚れた格好の割に綺麗な年ごろの娘。
楼蘭!!?
彼女はお金はないから簪と交換してほしいと言います。
驚くような精巧な作りの簪。惜しむべきは丸いものを埋め込まれたような穿った跡。
簪が銃弾防いでいたってコト!!?
「私の名前ね、玉藻って言うんだよ」
娘は玉藻と名乗ります。
しかし直前の『玉』葉の話題、そして漁師が海『藻』を仕分ける様子をわざわざ見る描写があることから、偽名と言えるでしょう。
玉藻は海の向こうに興味があるようで、遠い島国から来た船のほうに向かっていきます。
「じゃあ、ありがとうねえ。ばいばーい」
薬屋のひとりごとを90%offで読む方法
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まとめ&補足情報
とんでもない環境で、一人二役をこなしていた楼蘭。
自らの望みの為、限界まで挑戦した姿があまりにも孤高でした!
最期に登場する『玉藻』。
小説だけを見ると『おそらく楼蘭だけど…』という感じですが
作者ブログで楼蘭→玉藻と明言されています!
さらに玉藻の意味を『ググるといいかも』という言葉に従うと、衝撃の元ネタが判明しました。
薬屋のひとりごと【楼蘭のその後】生きている?日本に渡来!?【徹底考察】
こちらも併せてご覧ください。
そしてもう一つ述べておかなければいけない注意点。
この記事、壬氏パートを(長くなりすぎる為)根こそぎ省いております。
裏で大活躍だった壬氏と羅漢。
4巻は壬氏が宦官を捨て、表立って『皇弟』をして動いた記念すべき巻。次巻から壬氏の立ち位置は変わっていきます。
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コメント
更に言えば、旧蛇足編と言う書籍版3〜4巻の話の大元があって、納得できなかったので改稿したのがなろう本編に収録されていて、更に書籍化にあたり加筆修正をしたと言うことで、よくアイデアが湧くなぁと思います。
また、Raybooks版1巻で終わらす予定が、ヒーロー文庫で新装されたことによって元々は4巻までにするつもりだったらしいですね。
そのせいか壮大な内容になっているのも納得です。
https://x.com/namelanza/status/1165655273190481921?s=46
お詳しいですね!
情報ありがとうございますm(_ _”m)
本当に作者様の頭の中どうなっているのか……
この発想力を覗きたいですね( ´∀` )
余力があったら、旧蛇足編辺りの話の比較&感想記事と番外編の記事もお願いします
なろうと書籍版のエピソード比較はやりたいんですけどね~
膨大過ぎて…(笑)
そのあたりだけ解説するのもいいですね!一旦読み返してみますm(_ _”m)