夏期限定トロピカルパフェ事件・ネタバレ感想解説【小市民シリーズ②】

夏期限定トロピカルパフェ事件・ネタバレ感想解説【小市民シリーズ②】 小市民シリーズ
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2012年11月発売の小市民シリーズ第2巻、『夏期限定トロピカルパフェ事件』読了しました!

前巻が『春期』なのでその続きかと思いきや、1年空いた高2の夏の出来事が描かれます。

二人の関係が大きく動く大事件巻!

前巻に比べてシリアス度が上がり、タイトルとは裏腹に甘くない今巻。
似ているのに絶妙に違う、小鳩・小佐内の感情にも注目です。

以下、ネタバレ有りの感想・解説となりますのでご注意ください。

小市民シリーズの他巻記事はこちら↓
1巻2巻3巻4巻5巻6巻
春期夏期秋期(上)秋期(下)マカロン冬期
全巻のあらすじ(ざっくりと)

あらすじ

小鳩と小佐内

1巻の『春期限定いちごタルト事件』から約1年後の高2の夏

小鳩と小佐内は、相変わらず『小市民』を目指す……
すなわち悪い自分の性質を抑えるための互恵関係を続けています。

付き合いも約二年と長くなり、お互いの行動がある程度わかっている二人。
ところが最近の小佐内の行動は普段とかけ離れていて……?

小佐内の運命を左右する、〈小佐内スイーツセレクション・夏〉とは?

協力関係の必要性が薄い学校外で、小佐内はなぜ、小鳩をスイーツ巡りに連れ出すのか?

二人の関係に変化が生じる、注目の1巻です。

登場人物

主要な登場人物をまとめています。
全員高校二年生で、健吾以外は中学が同じです。

小鳩 常悟朗(こばとじょうごろう)
トラブルに首を突っ込み推理を披露したがる『狐』のような性質を抑えようとしている。
そのために小佐内と互恵関係を結んでいるが、つきあっているわけではない。
小佐内 ゆき(おさないゆき)
復讐大好きで執念深い『狼』のような性質を抑えようとしている。
そのために小鳩と互恵関係を結んでいるが、つきあっているわけではない。
スイーツ大好き。
堂島 健吾(どうじまけんご)
小鳩のいざという時に頼れる友人。正義漢。

ここから今巻登場メンバー

川俣 さなえ(かわまたさなえ)
健吾の彼女の姉。
石和のドラッググループから抜けたがっているが、健吾の助けは拒んだ。
石和 馳美(いさわはせみ)
中学の時薬物乱用で補導されているが、反省していない様子のドラッググループリーダー。

辞書

物語内に登場する難しいと感じた語句についてまとめました!

人いきれ人込みで息苦しい感じ
膂カ(りょりょく)腕力
義侠心弱者を助け、不正に立ち向かう正義感と勇気
万夫不当ばんぷふとう激つよ
むくつけき大男気圧されるような迫力を持つ巨大な男性
瀟洒(しょうしゃ)洗練されている
鹿おどしの音色鹿を追い払うための器具が発する音色で、一種の鐘や風鈴のような音
ターム学術用語
頬かむり知らんぷり
一読巻のうわざるとても面白く、一度読み始めたら途中で止められないという意味
誰何(すいか)の後相手が何者かわからないので、呼びとめて問いただした後
標榜(ひょうぼう)主義主張などをかかげて公然と示すこと
蓋然性(がいぜんせい)確実性の度合

事件の全貌は?分かりやすく解説

ここでは『夏期限定トロピカルパフェ事件』の全貌を分かりやすく解説します。
ネタバレが含まれますのでご注意ください。

中学の時、ドラッググループから抜けたがっている川俣さなえを助けた小佐内。
その手助けにより、ドラッググループのリーダーだった石和は補導されました。

自分を売った人間を恨んだ石和は、見つけ出して落とし前をつけようとします。

1年ちょっとの保護観察期間の後行動したため、このタイミングになったみたいだよ

そのことを、小佐内は再度ドラッググループに逆戻りした川俣から伝えられました。

中学の時の小佐内は証拠隠滅をしていなかったため、バレるのは時間の問題。

ならば未然に防ごうとするのがセオリーですが、復讐を好む『狼』な小佐内はそうしません。

拉致を実行するなら、罪状をランクアップさせてやる!
但し実行しないならそれでよし、としたのです。

そこには「手段を選ばないような危険な人なら、長く遠くにいて欲しい」という恐怖もありました。

捕まっていれば安心…だよね

つまり、小佐内が必要としたのは
「拉致されて石和は捕まるけど、自分は最小限の痛みで済むプラン」です。

そのための策が、

グループを抜けたい川俣と協力関係を結び、情報をリークしてもらうこと

そして、

小鳩を巻き込むこと

でした。

頭がきれる小鳩を拉致実行から時間差無く巻き込み、

かつ事前に場所を場所を特定できる二人だけの符号を仕込んでおくことで

生還率は大幅にアップします。

推理力に関しての信頼だね!

予想通り、助けに来てくれた小鳩。

石和のグループは、拉致監禁・刃物所持・薬物乱用
そして100%小佐内捏造の「身代金要求」も追加されて逮捕されました。

計画が万事うまくいき、ほくほくの小佐内。

ところが小鳩の前で「事前に誘拐を知っていた」ととれる失言をしてしまいます。

ほっとしたが故の……だね

2日後。
夏期限定トロピカルパフェを食べながら、小佐内は推理を聞かされます。

多少間違った点も小佐内が話し、真実は全てつまびらかに。

小鳩は唯一冤罪をでっちあげたことについて、「一線を越えている」と小佐内を非難します。

この冤罪は、「500万用意しろ」と川俣に録音させ、それをボイスチェンジャーで変声したものでした。

ただの誘拐より、身代金目的の方が重罪になります。
そしてもし身代金要求を石和グループ5人以外だと疑われた場合も、捕まるのは川俣です。

川俣も石和の名前を出して小佐内を脅すから、小佐内は好意的に見ているわけではないんだよね…

復讐の機会をスイーツと同じような甘い誘惑ととらえている小佐内に、苦言を呈した小鳩。

今回の二人の互恵関係は、『小市民になる』という本来の目的と逆方向に働きました。

小佐内は小鳩の推理力を利用して復讐を加速させ……

一方小鳩も「誘拐された友人を助ける」という免罪符を得て、大事件を不謹慎にもワクワクしながら推理していました。

確かに小鳩みたいな捜索力の高い信頼のおける人物がいなければ、自分の身を危険にさらすこんな計画は実行できないよね……

嘘つきだと言われ、小鳩が見たこともないような表情を見せた小佐内。

小佐内はそもそも『小市民になりたい』というのがお互い嘘だし、
皆が言う『小鳩と小佐内が付き合っている』も嘘だと言います。

小佐内の嘘を簡単に見抜きながら、その深層心理までは暴けない小鳩は中途半端で
二人がただの傲慢なだけの高校生なら……

もう一緒にいる意味がないと、別れを切り出しました。

二人でいることをの効果が薄れていることに気付いてはいましたが、切りださない小鳩と切り出した小佐内。

小鳩は小佐内の提案を受け入れ……
受け入れられた小佐内はをこぼしました。

反対してほしかったのかな?反対しろよ~~~

スイーツ巡りが楽しかったと言葉を残す小佐内と何も言わない小鳩。

二人の互恵関係はここで終わりを迎えます。



小佐内さんの涙の理由は?衝撃の別れ話

衝撃的な結末で終わった今巻。
やはり気になったのが、小鳩に「嘘つき」と言われた後の小佐内さんの動揺でした。

「嘘つき」と言われた後、「それを言うなら何もかも嘘だ」とお互い分かっていつつも黙っていた要素を全て言葉にし、別れ話を切り出すという自暴自棄なふるまい。

たぶんよっぽどショックだったね…

小鳩としては「冤罪をふっかけた件」だけ改めて欲しかったのだと思います。

しかし、理論的で説得力のある小佐内さんの言葉に紛れた「このままでも…」という言葉には「そんなつもりじゃない」と即レスし、

「一緒に居ることに意味がないとは思わない」と言いながら、小佐内さんの意見の方が理にかなっている為優先してしまう小鳩。

もっと感情的な痴話げんかを望んでいた小佐内さんの希望は叶えられませんでした。

優しいけど今は決定的に間違ってるよ優男!

付き合っていたわけではないですが、周りにはそう認識され、かなりの頻度で一緒にいた二人。

恋情かどうかは分かりませんが、小佐内さんはかなり寂しかったのでしょう。
をこぼし、未練のような言葉まで残しました。

一方驚くほど感情にでない小鳩でしたが、体の方がもう少し正直なのでしょうか?
残っていたパフェをひどい味だと感じ、胸やけして、これ以来パフェが食べられなくなりました。

味覚記憶ってやつかな?
フラれた記憶がよみがえってパフェがマズイ=相当嫌な記憶=別れ話は嫌だったってことだね



感想

小佐内ゆき

本当にお互いの思考がよく分かるコンビだなぁ~という感じで始まったのに、別れてしまうとは……
この先どうなるのか!?というのが気になるところです。

小鳩はともかく小佐内さんは忠言する人いないと暴走しないか…?

元の原因はドラッグやって補導されて逆恨みした石和なのもやるせません。
腕を縛って殴打、あげくタバコを押し付けようとするなど本当にかかわりたくない人物でした。

そんな状況で怯えていたのに、小鳩が来た後は今までの恨みをカウントして復讐に笑う小佐内ゆき。
かなり好きです。

小市民スローガンは理解しつつ、狼・小佐内ゆきがもっと見たい!

あと小佐内さんが言っていて今更気づいたのですが、『小市民』になるというのはなかなかイキったスローガンですね。

小市民=有象無象の一般人。
それを目指すというのは「自分が特別だ」「他とは違う」と考えているということです。

実際その通りなのですが……
他人に言うことではないなぁと思いました。



まとめ

小市民シリーズ第二巻、『夏期限定トロピカルパフェ事件』についてまとめると…

  • 小鳩と小佐内が2年生夏の物語
  • 小佐内誘拐事件であり、小佐内は誘拐されることを知って色々準備していた
  • 小佐内の中学での因縁が関係した事件
  • 『小市民への飛躍』と逆方向にお互いを利用したことなど、一緒にいるメリットが薄れていることから互恵関係を終わらせることになった

ということでした。

個人的には春期より読み応えあって好きでした!

小鳩の推理や小佐内の仕掛けに関してはガッツリ省きましたので、気になる方は是非読んでみてください!

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この記事を書いた人
ザクロ

読書大好き、考察大好きのザクロと申します!
「どこよりも分かりやすい解説」を目指し、手描きのイラストや図を交え、「どういうこと?」とつっこみながら記事を作成しています。
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