米澤穂信原作『小市民シリーズ』。春夏秋冬の四部作で高校三年間が描かれる推理小説です。
この作品の特徴は、なんといっても互恵関係を結ぶ小鳩常悟朗と小佐内ゆきの特殊な関係性。
高校生の男女でべったり一緒にいるって珍しいよね。
でも恋愛感情はないの?つきあう展開はくる?
この記事では、そんな気になる小市民シリーズにおける恋愛要素について解説!
具体的には
についてネタバレ有りでお届けします。
互恵関係は恋愛関係ではない
小佐内ゆきと小鳩常悟朗が互恵関係を結んだのは、同じ中学だった中三の初夏。
それは「とある事件」を解決するためでした。
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つまり互恵関係は「お互いを助け合う」関係であり、「恋愛関係」や「依存関係」ではありません。
ここ重要だよ!
そして「とある事件」での失敗を経て、「もう出しゃばらない、小市民になろう」と決めた二人。
少し形を変えて、互恵関係は継続されました。
お互いの悪い所を抑制することが目的の関係性。
そのためにお互いの存在を言い訳に使うこともあり、周囲から(特に学校で)は恋人同士に見られていることを許容しています。
推理・スイーツ・小市民…他に興味や目標がある二人だから、元々「恋人欲しい!」って感じではないんだよね
互恵関係解消で恋愛開始!?
ところがシリーズ二作目の『夏期限定トロピカルパフェ事件』で事情が変わります。
お互いの悪い所を抑制するための互恵関係。
しかし小佐内は小鳩の頭が良いことを頼りにして、自らの復讐好きな性格を加速させました。
このことを非難した小鳩に、小佐内はショックを受け、関係解消を持ち出します。
紛れもなく別れ話の雰囲気でした
依存関係でも恋愛関係でもない。
しかし、この別れ話で小佐内は涙を零し、小鳩はその時食べていたパフェが苦手になりました。
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2年生の2学期から、学校で目も合わせなくなった二人。
すると「別れた」という噂が回ったようで、2人に告白する存在が現れます。
小鳩が仲丸さんと付き合い始める
小鳩は同じクラスの仲丸さんに告白され、付き合い始めます。
ちなみに小鳩は中学時代も彼女がいたっぽいけど…そこに関しては全然触れられてないよ
恋人ができたこと……というより、ありきたりな恋人関係を送れている小市民っぽい自分に喜ぶ小鳩。
しかし上手くいっているのは外側だけの話でした。
小鳩が推理をしても、「私、この話前にもした?」という感じで気づかない仲丸。
それを肯定して上辺だけの会話を続けていくうちに、小鳩は自分が嫌味な性格になっていくことを自覚しました。
恋人の浮気に興味ない小鳩
そんな二人の終局は、仲丸の浮気発覚から。
正確には、仲丸の浮気に何も言わない小鳩でした
小鳩の他にも彼氏がおり、さらに本命が別にいる。
そのことが小鳩に知られたことを察し、小鳩の心境を探ろうとする仲丸ですが、
小鳩は「そんなの興味ないよ」という態度を取ります。
どこまでも「ありきたりな恋人」の状態を好いているんだよね…
恋に興味もない
さすがにそれはどうなのか……
全く心を揺らさない小鳩に、仲丸は別れを告げました。
小佐内が瓜野くんと付き合い始める
一方小佐内に告白してきたのは、野心溢れる後輩・瓜野でした。
堂島健吾が部長を務める新聞部所属です。
小佐内は瓜野にマロングラッセ効果(甘いシロップに浸かっていたら、渋い栗=自分の性格も甘くなるよね的なこと)を期待し、告白をOK。
そして、恋人に尽くす彼女であろうと、新聞部で大きな事件を扱いたがる瓜野の為に暗躍します。
違うwwwww
勝手にキスされそうになった小佐内の反撃
ところが瓜野が小佐内に勝手にキスをしようとしたことで状況が変化。
表向き怒ったわけではない小佐内ですが、そこから密かに、瓜野に一泡吹かせる方向に動き出します。
結構乙女思考な小佐内さん……なんでも過激です
そして小佐内の思惑通りになり、プライドを傷つけられた瓜野と別れの言葉も無く破局。
小佐内に後悔はありません。
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小鳩と小佐内が元の鞘に収まる
1年にわたる放火事件の終幕後、小鳩は『そもそも小市民になろうとしたことが間違いだった』と気づきます。
自分を無理に抑え込むと嫌味な人間になるだけ。必要なのは、たった一人の分かってくれる人。
小市民のスローガンは破棄されつつも、二人の互恵関係は結び直されます。
二人の『体温が上がる』関係
瓜野はかつて小佐内に「つきあってくれ」と告白し、仲丸は「恋は体温が上がるから好きだけど、小鳩はそうじゃないみたいだ」と振りました。
瓜野のこの一言に、1年と沢山の言葉を重ねてたどり着いた二人。
そして小鳩は寄りを戻す際、小佐内に推理を話す方が「体温が上がる」と告げています。
需要と供給の為、互恵関係の為と言いながら、一緒に居ることに喜びを感じる二人。
そこには瓜野や仲丸の恋心と変わらない、或いはそれ以上のお互いへの想いがあります。
小鳩は小佐内の次善
この時小佐内は
『この先もっと賢くて優しい人に出会う可能性があるから、小鳩は次善の選択肢』
と夢見る乙女のような、小鳩にとっては辛辣なことを言っています。
しかし冬期限定~事件の解決後、小鳩が「退院したら小佐内に連れて行ってもらったスイーツを食べたい」と言ったところで
小佐内は「今を三年間で一番忘れられない瞬間」だと表現。
ワンチャンこれが、小佐内が恋に落ちた瞬間では?と思うけどどうかな?
事故で大学受験が出来なかった小鳩に、自らと同じ京都の大学を勧めました。
最後にもう一度「わたしの次善」と呼びかけた小佐内。
この時、小鳩は小佐内にとって本当に次善なのか?
もし次善だとしても、今後京都で起こる事件の中で最善になっていくのではないか?
そのような恋の希望にあふれる関係性の二人です。
既に唯一無二感が凄いよ…?
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まとめ
『小市民シリーズ』の恋愛要素についてまとめると
ということでした。
簡単な言葉で言い表せない小鳩と小佐内の関係は本当にエモーショナルです。
是非アニメと一緒に、小市民シリーズ原作も読んでみてください!
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