ただ地面に這いつくばり、人目をはばからず号泣したところで、時は戻らない。
なにもかも、短絡的だった自分が悪かったのだ。
2015年2月28日発売の『薬屋のひとりごと2巻』。
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原作小説です。漫画もあるので注意してね!
小説家になろうの『宮廷編1』部分が超加筆修正されている、変人軍師・羅漢(ラカン)の巻です。
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特に二十話『鳳仙花と片喰』は涙なしには読めない名作でした
この記事ではネタバレ感想をおとどけします。
あらすじ
超美形の宦官・壬氏(ジンシ)のに買い取られた猫猫は、壬氏の下女として働くことになる。
倉庫の小火、官僚の食中毒、腕利き職人の遺言など、奇妙な事故や事件を調査するうちに、それらのつながりに気付く猫猫。
そこにはある人物の思惑があった。
そして何かにつけて壬氏に絡む変人軍師・羅漢(ラカン)も登場。
彼の思惑は何なのか?猫猫との関係は一体ーーー?
※以下、ネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
【2巻目玉エピソード】羅漢と鳳仙
薬屋のひとりごと
初回3冊1980円が198円に。▼
猫猫の親!?17年越しに結ばれる恋
猫猫の肉親である羅漢(ラカン)と鳳仙(フォンシェン)。
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二人とも【親】って表現は微妙なんだけど…
この巻の読みどころはやはり、この二人が17年越しに結ばれることでしょう。
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どう見ても猫猫と血縁の二人がいます。不器用で身を切るような恋物語!!
1巻では影すらなかった猫猫の血族。
今回何故登場するのかと言えば、壬氏が猫猫を買い取ったことが始まりでした。
変人軍師・羅漢は片喰(カタバミ)=(娘・猫猫)から虫(壬氏)を払い落としたいのです。
![ねこあし カタバミ](https://honga-net.com/wp-content/uploads/2023/11/写真-2023-11-20-23-39-37-2.png)
薬屋のひとりごとOP「花になって」の意味とは?原作小説から考察!
![](https://honga-net.com/wp-content/uploads/2023/08/写真-2022-12-16-20-58-20.png)
皇弟と知ってる感じなのに…すげーーー
猫猫のことは自分が身請けしたかった(実の娘と一緒に暮らしたかった)ので、横からかすめ取った壬氏に羅漢はネチネチと絡んでいきます。
父親・羅漢はどういう人物?
![変人軍師・羅漢](https://honga-net.com/wp-content/uploads/2023/11/写真-2023-11-20-23-39-37-3.png)
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超能力みたいなもの持ってるくせに、隣の高官のヅラを暴くなど子供みたいなことをするんよ…
これが誰もが知っている変人軍師・羅漢です。そしてもう一つの特徴。
人間の顔が碁石のようにしか見えない(※猫猫の顔は普通に見える)
これが物語に大きな影響を及ぼします。
羅漢と鳳仙の出会い
![鳳仙](https://honga-net.com/wp-content/uploads/2023/08/小さい.png)
猫猫の両親の出会いは、羅漢が同僚に緑青館に連れてこられたことです。
緑青館の妓女である鳳仙VS羅漢。負け知らずの二人で遊戯対決をすることに。
結果は鳳仙の勝ち。
負けた羅漢の独白が胸にくる為抜粋します。
思わず腹を抱えて笑ってしまった。
(略)
涙交じりに容赦ない妓女の顔を見ると、いつもの白い碁石ではなく、不機嫌そうな女の顔(かんばせ)があった。
名前の通り、鳳仙花のような、触れたらはじけそうな、人を寄せ付けない眼をしていた。
人とはこういう顔をしているものか。
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変化球の一目ぼれ…と言ってもいいのかな?
顔が見えるというだけで羅漢にとっては特別な存在。
ここから二人の関係が始まりました。
幸せの壬猫最高でした。 |
鳳仙(フォンシェン)はどういう人物?
![鳳仙花](https://honga-net.com/wp-content/uploads/2023/11/写真-2023-11-20-23-38-43.png)
「茶をつぐにも、主人に接するというより、下賤の民に施しを与えるような尊大な目で見ておりました。
物好きはいるもので、それに現を抜かす輩もそこらに」
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猫猫の…!母親だよ間違いない!!!
叶わない恋。やってはいけないこと
二人はただただ碁や将棋をする逢瀬を重ねていましたが、やがて鳳仙に身請け話が持ち上がります。
値はどんどん吊り上がり、羅漢には手が出せない域に。
賭け碁の最中、どちらともなく二人は手が重ねます。
その後、身請け話は破談になったと鳳仙から連絡があり、安心した羅漢はしばらく実家を離れることになりました。
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羅門(ルオメン)が失脚したため、影響を受けていた羅漢も勘当されたよ
ここで重要なのは身請け話が何故破談になったのかです。
答えは鳳仙が身ごもったから。
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これを言わない・聞かないことが、二人の運命の分岐点でした。
指切り
![小指](https://honga-net.com/wp-content/uploads/2023/11/写真-2023-11-20-23-59-11-1.jpg)
3年後。実家に戻った羅漢への文に、『小枝か土くれかよく分からないもの』が2つ同封されていました。
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あ~~~~~~~!
これは会いたい人に会う呪い(まじない)『指切り』でした。
……切り落とされた猫猫の左小指は、今も曲がっています。
皮肉にもこれで羅漢は子が出来ていたことを知ります。
しかし緑青館に向かうも『鳳仙はもういない』と、やり手婆に追い返される羅漢。
勝手に身ごもり、大店を袖にした妓女がどうなるのか。
羅漢は地面に這いつくばり、人目を憚らず号泣します。
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鳳仙が身ごもったことで、店の信頼が地に落ちて潰れかけたから、やり手婆も相当怒っているよ
17年後
この後羅漢は父から家督を奪い、甥っ子を養子に引き入れ、やり手婆に賠償の二倍相当の金を払い終えました。
そして現在。猫猫から園遊会にて、賭け将棋を挑まれます。
猫猫が勝った暁には『緑青館の妓女を一人、身請けする』という条件で。
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娘と関わりたい父親が断るはずないよね!
結果、猫猫が勝利します。
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酒でつぶれただけ、だけどね
緑青館にて、羅漢は妓女を選ぶことに。
どれも碁石にしか見えない羅漢は、今まで良くしてくれた梅梅(メイメイ)を選ぼうとしますが…
「選ぶなら、ちゃんと選んでくださいね」
梅梅が開いた大窓の先から歌が。
わらべ歌の主、梅毒にかかり隔離された鼻の無い女が、鳳仙でした。
身請け
痩せこけた病人の女、そのはずなのに羅漢には誰よりも美しい女に見えた。
「私はこの妓女を身請けするよ、金はいくらでも出そう。十万でも二十万でも払ってやる」
記憶もズタズタなながら、羅漢の持つ碁石に反応を示す鳳仙。
病に侵されながらも生きていた彼女を、羅漢は身請けします。
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号泣しました……
猫猫の母親は誰?梅毒による死亡までまとめ【薬屋のひとりごと】
伏線まとめ
ここからは、2巻で散りばめられ未回収の、伏線・気になる情報を纏めていきます。
暗躍する女・翠苓(スイレイ)
壬氏付きの猫猫を妬んで絡んできた官女の一員として、初登場した翠苓。
2巻では数々の事故に見せかけた事件が起こりますが、これは壬氏暗殺が目的でした。
そして、目撃証言等から翠苓が黒幕だと判明します。
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強キャラ感が凄い……
事件の犯人だと認めるように、毒をあおって死ぬ翠苓。
それを聞いた猫猫は何故かひっかかり、棺桶を開けてみると別の遺体が。
毒は本当に一時脈も心臓求める【蘇りの薬】だったようです。
(蘇りの妙薬。作り方を絶対教えてもらう!)
猫猫の好奇心は最高潮です(⌒∇⌒)
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2巻では、翠苓は行方不明のまま終わるよ。今後の登場に注目だね!
祭祀での壬氏暗殺未遂までを分かりやすく解説!祭具落下関連事件
【初登場】楼蘭(ロウラン)妃
猫猫は四夫人相手に『後宮教室』を開くことになります。
二つのメロンの使い方を教えた、梨花妃からの推薦です。教授内容についてはお察しを。
ここで初対面なのが楼蘭妃でした。
ネタがわかる人がいてくれて嬉しいですw
— ソピエラ弐式 (@sophierramkII) December 2, 2021
因みにイケジョ系が後にミステリアスなクール系(楼蘭妃)に入れ替わりますけど、これまた魅力的な属性で凄いと言いますかw pic.twitter.com/tFEE1zPCMh
前巻で引退した阿多妃の後釜です。
特に元の目の形が分からないほど、強く眦を強調していた。元の顔はどんなものか想像がつきにくい。
どうやら整形級メイクの使い手な様子。
彼女の父、子昌(シショウ)は先帝時代からの重鎮ですが、実力主義の現帝からすれば目の上のたんこぶだとか。
猫猫は、相談役の阿多が居なくなり、扱いづらい楼蘭を入れなければいけない現状は、皇帝も頭が痛いのでは…?と予測しています。
猫猫は壬氏の下女に
猫猫の次の勤め先は外廷でした。
役所がそろった官たちの職場です。(以前勤めていた後宮は内廷)
そこで壬氏の下女をすることに。
上客の見分け方
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下町で待ち合わせがあるらしい壬氏様を変装させる猫猫。
やるからには完璧を目指します。
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壬氏の待ち合わせの相手は、作者様的には「読者のご想像におまかせ」とのこと。
小学館版では阿多様になっています。
「妓楼の上客の見分け方を知っていますか?」
見た目だけではなく、「匂い」も判断基準。
上質な香の香りは変装しても身分がバレるそうです。
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壬氏&猫猫の関係において、今後かなり活用される重要エピソード!!
面白いシーン
猫猫に身体を検分され、(筋肉等を)褒められた李白に妬く壬氏様。
それを見た猫猫の反応が斜め上でした。
(自分のほうが綺麗だと誇示したいなんて)
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wwwwwwww
(別にしてもいい。してもいいよ)
違う、そうじゃないwwwww
見当違いに呆れられ、何とも不憫な壬氏様でした。
薬屋のひとりごとを90%offで読む方法
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まとめ&漫画対応巻数
猫猫のルーツが知れる神巻。花街の恋物語でした。
今回の感想では事件系をバッサリ省いております。
超金細工師の残した形見トリック等少し想像が難しいので、こちらは是非漫画で読んでいただきたいです。
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