冬期限定ボンボンショコラ事件 ネタバレ感想解説【小市民シリーズ⑥】ついに完結!

冬期限定ボンボンショコラ事件 ネタバレ感想解説【小市民シリーズ⑥】ついに完結! 小市民シリーズ
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2024年4月30日発売の小市民シリーズ第6巻『冬期限定ボンボンショコラ事件』読了しました!

シリーズ四部作がこれにて完結ですが、ものすごく綺麗にまとめられた印象。

不安だった箇所・ふわっとしか知らされていなかったこと全部描かれてます!

小鳩くんと小佐内さんの行く末を小市民シリーズファンとして見守れてうれしく思います。

以下、ネタバレ有りの感想記事となりますのでご注意ください。

小市民シリーズの他巻記事はこちら↓
1巻2巻3巻4巻5巻6巻
春期夏期秋期(上)秋期(下)マカロン冬期
全巻のあらすじ(ざっくりと)

あらすじ

入院生活

高校三年生の12月22日。
別の大学を目指す受験生の小鳩・小佐内。

しかし小鳩は小佐内と歩いているときに車にはねられ、意識不明の重体に……
そしてひき逃げ犯はまだ捕まっていません。

小鳩は意識が戻るも入院生活
携帯は事故で破損し、眠っている間に置き手紙を残していく小佐内さんは犯人捜しをしています。

そんな中、思い出したのは中学3年生夏のあの事件。
小鳩・小佐内双方に苦い記憶となった、また互恵関係を結ぶきっかけになった

同級生のひき逃げ事故を、小鳩は回想します。

登場人物

小鳩くんと小佐内さん

主要な登場人物をまとめています。

小鳩 常悟朗(こばとじょうごろう)
小佐内と互恵関係を結び直した、名古屋の大学を受験するつもりだった高校三年生。
ひき逃げにあい、長くて2か月の入院となった。
小佐内 ゆき(おさないゆき)
小鳩と互恵関係を結び直した、京都の大学を受験する高校三年生。
ひき逃げ犯を捕まえるつもり。
堂島 健吾(どうじまけんご)
小鳩の義理堅い友人。

ここから今巻登場メンバー

日坂祥太郎(ひさかしょうたろう)
中学三年時の小鳩のクラスメイト。
バトミントン部エースだが、夏の大会を前に交通事故にあって全ておじゃんに。
自殺を図ったという噂。
藤寺真(ふじでらまこと)
日坂の後輩。当時中2。事故の目撃者。

事件の全貌は?分かりやすく解説

堤防道路

12月22日。

堤防道路を歩いていた小鳩・小佐内に突っ込んできた1台の車。
先に気づいた小鳩は小佐内を突き飛ばし、自らは避けることが出来ずにひき逃げされました。

意識が戻ったものの脳震盪、右足骨折、全身打撲、肋骨亀裂…
長くて2か月の入院で、大学入試は不可能に。

小鳩は携帯が壊れて使えない入院生活の中、堂島の話から中学の時同じ道で事故があったことを思い出します。

それは自らの苦い記憶…小市民を志すきっかけになった「クラスメート・日坂祥太郎くんがひき逃げされた事故」でした。

しかしその日坂くんは、自殺を図った可能性が高いと聞きます。

もしかして自分のせいなのか?
いや、死んだ場合通夜と葬儀の日取りを教えてくれるだろう友人はいる。
では今どこで何をしているのか?

小鳩は中三の夏の出来事について回想し、日坂くんについてノートに書き留めることにします。

【3年前】日坂祥太郎くんの事故とは?

バドミントン部

小鳩の三年前のクラスメート・日坂祥太郎くんは、小鳩と同じ堤防道路で中三の6月にひき逃げされました。
このことで中学生活で打ち込んでいたバドミントンも水の泡となり、最後の試合にも出れなくなりました。

小鳩はこれを聞いて、自ら犯人を突き止めようと意気込みます。

当初日坂くん・犯人・目撃者の2年藤寺くんしかいなかったと思われたひき逃げ現場。

しかし調べていくうちに、

  • 日坂くんの後逃げようとした車にひかれそうになった女子生徒(小佐内さん)
  • 日坂くんの隣に自転車を押した黄葉高校の女子生徒

もいたことが判明していきます。

なぜ日坂くんは、黄葉高校の女子生徒の存在を隠していたのか?

ひき逃げした空色のワゴンを捜すため、
途中で小佐内さんと互恵関係を結び、ともに調査することに。

ひき逃げ後犯人は9キロ直進するしか道が無く、小佐内さんはそれを、既に歩いて確かめていました。

ひき逃げされたけた恨みすご…

そして9キロの終わりは防犯カメラのあるコンビニ。

小佐内は麻生野という女子(コンビニ運営者の娘)に、防犯カメラのデータを見せてくれるよう頼みます。

しかし何も映っていない防犯カメラ。
9キロに抜け道も見つかりません。

此方はいったん保留になり、黄葉高校の女子生徒を捜すことに。
まずは黄葉高校前の掲示板に張り紙で、事故目撃者を募ります。

するとそれは「エーカンのエーコではないか?」と話しかけてきた生徒がいましたが、
連れてこられた「エーコ」は否定しました。

その後、張り紙を見た日坂くんの父親が電話してきます。

呼び出され、詳細を話すよう促され、手を引けと言われた小鳩。
後日張り紙は破り取られていました。

話し損もいいところ…

その後、麻生野さんから防犯カメラのことで呼び出された小佐内。

警察が来たそうで何が起こっているか知りたかった麻生野は、小佐内から事情を聞いたところで

ひき逃げ車が映っていない謎を瞬時に見破りました。

あっけにとられた二人を置いて、翌日犯人は逮捕されました。
コンビニのアルバイトの男でした。

その日学校に復帰した日坂くんに呼び出された小鳩。

土曜の朝に退院した言う日坂くんですが、それは日坂くんの父親と会った時間と同じ。
偽物だったのではないか?と推理を働かせる小鳩に対し、日坂くんは小鳩を平手打ちしました。

お見舞い時「余計なことをするな」と言ったのに、逆のことをした小鳩を責める日坂くん。

怒っている日坂くんを前に、小鳩は自分が何をしたかったのかが分からなくなります。

「鬱陶しい」

不必要に暴くことだけになり、結局よく分からないまま終わったこの事件は、小鳩が謎を解くことに対してためらいを覚える原因になりました。

小佐内さんはは麻生野さんに対する優位を失い、1週間学校を休みました。

何があったか詳しくは分からないけど、女子同士のいざこざは怖い…

小鳩のひき逃げ犯は?

コップ1杯の水

入院生活を送る小鳩は、夕食後コップ一杯の水を飲み眠る日々。
いつ寝付いたともわからず気を失うように眠って、未明に目を覚まします。

小佐内さんが来たときは常に眠っており、メッセージが残されています。

犯人を捜している旨が書かれたメッセージと、
狼っぽいぬいぐるみと、
一日ひとつまでと書かれたボンボンショコラ。

さらにドライフラワーに水をあげというメッセージもありました。

ドライフラワーに水?

ここで小鳩は、小佐内さんの真意に気付きます。

12/30。
ベリーショートの担当看護師さんに、彼女の名前が分からないまま「いつもありがとうございます」と感謝を告げる入院生活。

介助を受ける生活の中で、花に水を上げられたのは翌日31日でした。

よいお年をと看護師を見送った後、病室を訪れた小佐内さん。
随分久しぶりの再会です。

毎日飲み干すように指示されていた水に入れられた睡眠薬。
患者として看護師を疑えなかった小鳩と違い、ボンボンショコラの箱に忍ばせた無線機で病室を盗聴していた小佐内さんは変だと気づき…小鳩に忠言しました。

助けてくれてありがとうと言う小佐内さんに、涙をこぼす小鳩。

小佐内さんはブレーキを踏まなかったひき逃げ車を見て、事故ではなく殺人未遂を疑っていました。

ちなみに無線機は電波が弱い為、寒い中病院近くで傍受していた様子です。

愛かな憎かな

車いすでトイレに行くとき、わざと遠い道を選ばれていた小鳩。
それは、他の看護師が名札をつけているのに自分だけつけていないことを突っ込まれないためでした。

一度病室を出て戻ると、帰ったはずのベリーショートの看護師が。

小鳩は睡眠薬を飲まされていたことに踏み込み、推理を始めます。

ベリーショートは最近切ったもので、本来は眼鏡をかけ、髪は長かった。
そして、名前を隠すという事は小鳩は聞けば心当たりがある人物。

担当の看護師は「日坂エーコ」。エーカン(衛生看護科)の英子。日坂くんの姉でした。
張り紙時「自分ではない」と言ったのは嘘でした。

3年前に小鳩がやったことを恨み、幸せそうに小佐内と歩く姿を見て凶行に走った英子。

いまだ見つからない車は川の中に隠している様子です。

偶然担当になった英子は、看護師として小鳩を監視しました。
睡眠薬を飲ませて不用意に外部の人間と接触するのを妨害したものの、臆病な時間稼ぎでした。

それでも英子の手には、金槌

小佐内さんが準備していた胡椒をまき、その隙に逃げ出す二人。
運悪く乗ったエレベーターは屋上に向かいます。

小鳩が車いすな以上、エレベーターしかないのか…

屋上庭園で通報しつつ、時間を稼ぐ二人。

激高している日坂英子の話を聞き、過去の自分が何をしたか小鳩はやっと理解しました。

日坂家の家族仲は悪く、父と母が憎み合っていた。
父についていった姉と、母についていなかった弟が連絡を取ることも許されなかった。

しかしこっそり会っていた姉と弟。そのことが、小鳩が動いたことで父親にバレてしまった…
それで姉弟は会えなくなった…

その後、小坂祥太郎は自殺未遂を図る。もし自分が傍にいたら…と考えた英子は、小鳩を恨んだ。

そういうことでした。

一番の元凶は親では?とは思うけど……

そこで小佐内が間に入ります。自分も巻き添えで轢こうとしたのはただの人殺しだと。

そして小佐内さんが呼んでいた日坂祥太郎も到着します。

愛する弟から「そんなことしてほしくなかった」と言われ、意気消沈してしまう英子。
無事逮捕されました。

日坂くんは、小鳩に会ってほしいと言われ会いに来ました。

日坂くんは日坂くんで過去を気にしており、秘密は自分のほうにあったのに言いすぎたと謝ります。

小鳩も自分の最大の愚行は善意を押し付けたことだと悟り、謝りました。

日坂くんの自殺未遂は人間関係のせいということで、誰か一人というわけでもなく少しずつ沢山の人が原因となっている模様です。

小鳩くんと小佐内さん

小鳩くんと小佐内さん

年越しの夜を、まだ帰っていなかった小佐内さんと話しながら過ごす小鳩。

小鳩が書いているノートを見て日坂くんの元を訪れた小佐内。具体的に探したのは堂島でした。

ちなみに。小鳩が英子に話す推理を黙って聞いていた小佐内ですが、小佐内は看護師が「小坂」であることを知っていました。

そりゃ「睡眠薬混ぜてる?」と思った時点で確認するよね
病室外では名札付けているわけだし

だからこそ日坂英子の一番嫌う、「やったことが全部弟にバレる結末」を実行。

本来は病室で鉢合わせさせる予定でしたが、満足した様子です。

治ったら行きたいところはあるかと聞かれ、小鳩は意外にも『アリス』のいちごタルトや、『セシリア』のパフェ、『桜餡』の栗きんとんをあげます。

それを聞いた小佐内さんは、3年間でいちばん忘れないと思う瞬間として『今』をあげました。

来年受験になった小鳩に、京都の大学をオススメしてきます。

おぉお!

意識が戻らず小佐内を不安にさせた小鳩。
その報いとして自分が大学に受かっても教えず、京都に迷路を作ってあげると言います。
そしてその先に居るという小佐内さん。

これは小鳩にとって抗いがたい、『謎』の誘惑

小鳩を「わたしの次善」と呼ぶ小佐内さん。

小鳩は今度は自然な睡魔にとらわれながら、小佐内さんの声と年越しの鐘を聞いていました。

感想

今巻で完結という事で

  • 小鳩・小佐内の後悔の過去は分かるのか?
  • そもそも互恵関係を結んだきっかけは?
  • 高校を出たら互恵関係解消を匂わされているけど、本当にまた別れてしまうのか?

と、気になる要素が色々残っていて不安でしたが

凄く上手いことまとめられており大満足です。

事件の真相にも見事騙されました。

途中まで、「え?犯人探ししている小佐内さんに焦点あてなくてページ数大丈夫?小鳩くんの回想話ばかりで終わりそうだけど!?」と思いつつ読んでいました。

そうくるかーーー!

バッチリ焦点当たっていましたね。

それにしても過去話。

小鳩くん・小佐内さんペアが惨敗する事件などどんなものかと思いましたが、これは特に日坂祥太郎くんの事情が察しずらい

普通に考えると、小鳩が事件に突っ込んだことは(小鳩の安全を置いておけば)日坂くんにとって喜ばしいことです。

ひき逃げ犯が捕まる可能性がちょっとでもアップするのなら…って思うよね

しかしそうではなかった。そしてその事情がくみ取りにくいものでした。

両親が険悪で、別々についていった姉・弟も会うことを禁じられていた。

事故現場に姉がいたことを、小鳩が明らかにしてしまったことがまずかった。

かなり子供に酷な事を強いていた親に加え、

小鳩が中学生なので「息子の退院を知らない父親はいない」と思い込むなど、他の家庭事情に疎い一面がありました。

結果、余計なことをしたとして恨まれ、ひき逃げにまで発展……

う~ん……ご愁傷様です。

しかし、この事件で良い方に働いたものも。

冷静で大人になった今もう一度日坂くんと話せたこと。

そして小鳩くんと小佐内さんの関係です。

名古屋の大学を受ける予定だった小鳩くんと、京都の大学を受ける予定の小佐内さん。

高校卒業とともに終わりを迎える予定だった互恵関係は、

  • 小鳩くんが強制的に1年遅れることになった
  • 小佐内さんのほうにもこの事件で心境の変化があった

ことから今後も続いていきそうな雰囲気。

小鳩くんを小佐内さんが京都に誘う場面はかなりトキメキポイントでした!

誘い方も最後まで小佐内さん!

「京都の大学に受かっても連絡せず、1年先に行って迷路を作っているから捜しに来て」

小佐内さんのことですから、これは比喩ではなく本当に何か作ってくれるのでしょう

ここで他の男の名前を出すのは無粋ですが、瓜野くんの時も彼の望みを叶える為に常人非ざることをやっていました。

小鳩くんの為ならば、それ以上の仕掛けを見せてくれるのでは?と思っています。

大学再会編が凄く読みたいなと思いました。

まとめ

ボンボンショコラ

小市民シリーズ第六巻、『冬期限定ボンボンショコラ事件』についてまとめると…

  • 小鳩と小佐内が高3、12月22日~年越しの鐘までの物語
  • 3年前の事件から恨まれた小鳩がひき逃げされた事件
  • 3年前の日坂祥太郎くんの交通事故や、互恵関係を結んだ二人の馴れ初めも描かれる
  • 大学受験を受けられなくなった小鳩を、小佐内が京都の大学に誘った
  • これにてシリーズ完結!!

ということでした。

やっぱり完結してくれたのは嬉しい!米澤先生ありがとうございます!

最初から意気投合していた二人の互恵関係が、この先も長く続くといいなと願っています。

3年前の事件調査などをガッツリ省いていますので、気になる方は是非読んでみてください!

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この記事を書いた人
ザクロ

読書大好き、考察大好きのザクロと申します!
「どこよりも分かりやすい解説」を目指し、手描きのイラストや図を交え、「どういうこと?」とつっこみながら記事を作成しています。
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