変人軍師・羅漢。
猫猫の実の父親であり、「人の嘘を見抜ける」という作中きってのチートキャラです。
ところが気ままに生きているように見える羅漢には、過去の苦い恋愛体験がありました。
猫猫への執着もそこから来ています……
この記事では羅漢が妓女・鳳仙を身請けした理由とその後についてまとめています。
猫猫の複雑な感情も見どころだよ!
原作小説13巻までのネタバレが含まれますので、ご注意ください。
羅漢はどんな人物?
ただ、あの男には、人には見えないなにかが見え、それを元に、相手をどん底へと引き込む脚本が作られる。
羅漢は猫猫の実の父親です。
- 羅の一族の当主
- 年齢は40過ぎ
- 不精髭、狐のような目に片眼鏡
- 通称「変人軍師」
- 軍部で2番目の地位
- 碁・将棋が好き。かつ激強
ルォメンは養父です。羅の一族相関図はこちらから
羅漢は娘である猫猫を溺愛しており、やり手婆と10年以上交渉して身請けする気でいました。
しかし壬氏に横からかっさらわれた形となり、「壬氏につっかかってくる存在」として登場します。
また、羅漢最大の特徴は
「人を見分けられないこと」と「能力値・嘘を見破れること」です。
人が碁石(男が黒石、女が白石)のようにしか見えないというウィークポイントがある反面、
「相貌失認」ってやつだね
有能な人間は香車や桂馬に見えたり、嘘をつくと瞬時に見破る事が出来ます。
もう特殊能力……
軍師の仕事は簡単だ。駒に見合った配置を行えばいい。適材適所、それで大体の戦は勝てる。
故に作中きってのチートキャラです。
悲恋で終わった羅漢の恋
ではなぜ実の娘を「身請け」などと言う事態になっているのでしょうか?
そもそも猫猫の母親は誰…?
その理由は猫猫が生まれる前。
羅漢と一人の妓女の恋が、悲恋に終わったことが原因でした。
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出逢いと恋に落ちるまで
羅漢は底意地の悪い同僚にすすめられ、妓女と碁勝負をすることになりました。
「妓楼で負けなしの鳳仙」VS「軍部で負けなしの羅漢」
負けたのはなんと羅漢でした。
思わず腹を抱えて笑ってしまった。
涙交じりに、容赦ない妓女の顔を見ると、いつもの白い碁石ではなく、不機嫌そうな女の顔があった。
人とはこういう顔をしているものか。
唯一人に見えた女の顔。
既に入れ込む未来が見える…
そして二人は次の勝負に移ります。
鳳仙ってどんな人?
鳳仙は緑青館の妓女でした。
「変わり者の妓女でして、芸は売れど身は売らず。それどころか、客を客とも思わない。茶をつぐにも、主人に接するというより、下賤の民に施しを与えるような尊大な目でみておりました。
アッ猫猫の遺伝子……
盤遊戯の内でも特に碁を得意としていました。
恋に落ちてから猫猫ができるまで
碁と将棋の逢瀬を何年も続けた二人。
羅漢は青い薔薇(白薔薇に青い水を吸わせたもの)を作り説き道具に使うなど、可愛らしい一面もあったようです。
しかし鳳仙の人気が上がったことで、羅漢は三か月に一回通うことが(価格的に)限界になります。
大店から身請け話もでており、二人の恋路の雲行きが怪しくなったある日。
鳳仙は羅漢に賭けの提案をします。
あなたが勝てたら、好きなものを与えましょうと。
私が勝てたら、好きなものをいただきましょうと。
賭けの遊戯として羅漢が選んだのは、勝率が低い碁でした。
「鳳仙の欲しいものを知りたい」ってこと?
その後、どちらが勝ちとはわからぬまま、気がつけば手が重なっていた。
ただ、鳳仙は腕の中で「碁がやりたい」とつぶやいた。
自分とて将棋をやりたいと思っていた。
これが二人なりの「一緒にいたい」です……
しかしその願いは叶いませんでした。
別れ
羅門の失脚を理由に、影響を受けていた羅漢は父から追い出されます。(島流し的なもの)
鳳仙から「大店からの身請け話は破談になった」と文が来ており、安心してのことでした。
しかしこれは「羅漢の子を身ごもったから破談になった」ということでした。
言えよ!!
予想外に3年も戻ってこれなかった羅漢。
そのうちに物語は最悪の方向へ進んでいました。
バッドエンド
羅漢が3年ぶり家に戻ると、古びた手紙と一緒に小枝のようなものが2本括りつけてありました。
ゆびきり、そんな呪いが流行っていると聞いていた。
枝のように見えたものは
- 鳳仙の薬指
- 鳳仙と羅漢の子の小指
でした。
理解した羅漢は緑青館に行くも「鳳仙はもういない」とやり手婆に追い返されます。
身勝手に子をつくり、自分だけでなく店の信用も地に落としてしまった鳳仙。
夜鷹のごとく客を取るしかなくなった妓女の末路は……
ただ地面に這いつくばり、人目をはばからず号泣したところで、時は戻らない。
なにもかも、短絡的だった自分が悪かったのだ。
うぅ…きっつ……
猫猫との出会い
それでもやり手婆に交渉に行く日々で、羅漢は羅門に世話されていた猫猫に出会います。
碁石のように見えるはずのその顔が、なぜか不愛想な顔に見えた。
猫猫も人間の顔に見えた羅漢。
鳳仙の子だからでしょうか?
赤く染められた爪を見ると、小指だけが歪んでいた。
恨まれても仕方がない。
それでもそばに置きたかった。
バッドエンドの中に現れた光。
羅漢はこの後、必死で権力と金を手に入れます。
父から家督を奪い、羅半を養子に。
やり手婆に10年かけて賠償の二倍の額を支払います。
残った娘とともにいたい、ただそれだけをかなえるために、羅漢はずっとやってきた。
これが出世欲が無い羅漢が出世している理由でした
そして物語は現在に移ります。
17年後の身請け
猫猫との賭け
猫猫は、園遊会で羅漢に将棋勝負を挑みます。
- 負ければ羅漢の子になる
- 勝てば羅漢が緑青館の妓女を1人身請けする
という条件です。
賭けの提案が血筋…
この勝負のミソは「負ければ薬を混ぜた酒を飲む」ということ。
猫猫の言から「飲みすぎると毒になる」と信じる羅漢は、愛する娘に飲ませるワケにもいかず……
自ら飲んで酒に酔い、倒れました。
「下戸なんですよ、この人」
猫猫はあっけなく勝利しました。
羅漢の身請け
身請けする妓女を選ぶことになった羅漢。
羅漢は今まで良くしてくれた三姫の一人、梅梅を選ぼうとします。
しかし梅梅は
「選ぶなら、ちゃんと選んでくださいね」
と大窓を開けます。
そこから聞こえるのはあどけないわらべ歌。
「鳳仙もいることを知った上で、ちゃんと選んでくださいね」
羅漢は窓から飛び出し走ります。
たどり着いたのは病人部屋。
そこにいたのは梅毒で気も体も患った鳳仙……鼻の欠けた女でした。
痩せこけた病人の女、そのはずなのに羅漢には誰よりも美しい女に見えた。
「婆、この女で頼む」
碁石を摘まんで一瞬赤みを帯びたような鳳仙の顔。
10万でも20万でもいくらでも払うと言いきった羅漢に、やり手婆はそれ以上何も言いませんでした。
ちなみに最初の予算は銀1~3万だったよ
バッドエンドで終わった恋の続きが再び始まりました。
梅梅の感情
鳳仙の禿をしてた三姫の一人、梅梅。
羅漢を毛嫌いするやり手婆とは違い、梅梅は羅漢に好意を持っていました。
詰め将棋を教えてくれた禿の時から、ずっと変わらず鳳仙を想い続けている様子を見ていたからね…
故に自分が身請けされたいと思っていた梅梅。
しかし妓女としてのプライドが、鳳仙を隠したまま選ばれることを良しとしませんでした。
梅梅が窓を開け放ったことで羅漢は鳳仙が生きていると知り、鳳仙を身請けします。
「大姐、最初から素直になっていればよかったのに。どうしてもっと早く……」
「私が期待する前に終わっていればよかったのに」
泣き崩れた梅梅。
梅梅はそれから約4年後、棋聖に身請けされます。
羅漢の相手をするうちに碁が強くなった梅梅を、
羅漢が帝の碁の指南役である棋聖に紹介した形でした。
想いは敗れても、積み重ねてきたものは無駄にならずにつながっていきます。
【猫猫】実親に向ける冷めた感情
両親の恋と17年越しの身請け。
しかし娘である猫猫の感想は、とても冷めたものでした。
ここでは両親それぞれに対してどう思っているか、身請けの際どう思ったのかをまとめてみます。
猫猫➡羅漢【種馬】
猫猫は羅漢が嫌いですが、恨んではいません。
でも「爸爸って呼んで」とか言われるとキモくて駄目なんだよね☆
妊娠したのも堕胎しなかったのも鳳仙の意志だろうと猫猫は考えています。
つまり羅漢は利用されただけ。
しかし猫猫の父親はあくまでおやじ・羅門です。
羅漢は種馬という認識です。
猫猫➡鳳仙【あんなの】
猫猫にとって鳳仙は母親ではなく「あんなの」です。
鳳仙は「指切り」という呪いの為、猫猫の小指を切り落としました。
「大人の女が上から猫猫を見下ろす。ざんばらの髪とやつれた頬、ぎらぎらと飢えた目で睨み付ける。化粧がはげ、紅が唇からはみ出している」
小指は現在も歪んでおり、記憶は今だ悪夢となって思い起こされています。
毒親もいいところだね……
さらにしんどいのが「猫猫の誕生で緑青館がつぶれかけた」という事実です。
鳳仙は身勝手に猫猫を身ごもり、堕胎の手段があったにもかかわらず生みました。
「そんな妓女がいる」ということで緑青館の評判は地に落ちてつぶれかけ、緑青館の面々はキツイ時期を過ごしました。
やり手婆が口止めしていたにも関わらず、その事実を噂話で知ってしまった猫猫。
猫猫に全く非はありませんが、「自分が原因」。
肩身が狭かったことでしょう。
しかし緑青館の面々は猫猫を虐めるわけではなく、「父親は羅門、母親はいない」としてくれました。
猫猫はそのことを感謝し、幸せを感じています。
薬師としては割り切って看病していましたが、猫猫にとって鳳仙は「母親」ではありません。
猫猫の母親代わりは、面倒を見てくれた三姫たちです。
猫猫が身請けに関して思う事
羅漢が鳳仙を選んだことを、実の娘である猫猫がどう思っているのかというと……
(梅梅小姐にしておけばよかったのに)
でした。
冷たい!
羅漢は(性格はともかく)身請け先としては有望株です。
地位・能力・金があり、身請け後に自由がききそうなことも好条件です。
だからこそ猫猫は、自分が好きな梅梅が選ばれて欲しかった……。
むしろ「どこが気に入らないんだよ(# ゚Д゚)選べよイラッ」という感じでした。
しかし忘れてはならないのは「猫猫はツンが強め」だということ。
そもそも身請けの話を持ってきたのは猫猫だということを忘れてはいけません。
そして猫猫は羅漢が気づくか気づかないかのところに手紙を忍ばせていたのです。
これ、マンガ版だと省略されてるんだよね…
この手紙というのは
- おそらく鳳仙が生きている旨が書かれている
- 羅漢は結局見つけられなかった
と曖昧かつ結局は意味をなさないもの。しかしここに
それが、猫猫が種馬にできる最大の譲歩だった。
という猫猫の複雑な心境の落としどころが示されているのです。
身請けされたときに「衣装が贈られてきたから」と踊ったりもしているしね…
そしてもう一つ。
猫猫の行動には羅漢を一番許せないであろうやり手婆への配慮がありました。
評判が傾いた緑青館を、必死に立て直してきたやり手婆。
生みの親より育ての親への義理を優先した結果、羅漢に鳳仙の存命を知らせるのがこのタイミングになったかと思われます。
鳳仙の死
鳳仙は羅漢の身請けから約1年後に亡くなります。
元々、いつ死んでもおかしくなかった。
花街で過ごすより長生きできたと思う。
毎日碁や将棋を打つ生活を送っていた二人。
羅漢が仕事の時も、相手が一手打つたび伝令が屋敷と宮廷を往復していました。
スマホが欲しいね(笑)
鳳仙の死で魂が抜けてしまったような羅漢は、しかし、ぶつぶつと何かと対峙していました。
それは途中で終わってしまった鳳仙との最後の対局です。
「悪手だな」
鳳仙の最後の一手に納得できない羅漢。
しかし碁盤とひたすら向き合うことで、鳳仙が打ちたかった手にたどりつきました。
現実世界に戻ってきた羅漢は、仲の悪い父親に向かって言います。
「今更ですが、妻を娶りました」
結婚の挨拶をしたかった浪漫主義者な羅漢。
猫猫は頼まれて鳳仙の遺髪に頭を下げます。
羅漢は鳳仙との対局を形に遺すため「碁の本をつくる」と決意しました。
亡霊のような姿はなく、ただ、前に突き進む変人がそこにいる。
鳳仙が亡くなっても、羅漢の愛はまだ続いていきます。
追悼の碁大会
そして時は過ぎ8巻。
【原作小説】身請け2巻➡鳳仙死去6巻➡碁大会8巻です
鳳仙との将譜をまとめた「碁の本」を販売し、碁を都のブームにまで発展させた羅漢は
「碁大会」を開催します。
「人数制限はかけたくない。出来るだけ大勢に碁をやってもらうことが狙いだ」
鳳仙への愛の形とあって、らしくない姿を見せる羅漢。
会場を借りる為に睡眠時間を半分にしてきちんと仕事もします。
普段からちゃんとやれ★
そしてもう一人。
この大会の盛り上げに一役買うのが甥の羅半でした。
羅半は羅漢の借金
- 身請け代(離宮一つ建つ金額)
- (猫猫が誘拐されたときに羅漢が壊した)後宮の壁の修理代
を払うのに必死でした。
可哀そうに…
屋台、新刊発売…そして「漢羅漢に碁で買ったら、一度だけ願いを聞いてもらえる」という噂を流し、
羅漢への挑戦権を銀10枚(約5か月分の食費)に設定します。
前言撤回、ぼったくりやん……
これを信じ、ありとあらゆる手を使って羅漢に食い込んできたのが壬氏でした。
勝てば猫猫との仲を認めてもらえるかも……
愛が愛を呼ぶ碁勝負です!
結局、壬氏はどんでん返しにあい負けてしまいます。
しかし
「……ともかく楽しめた」
「何が目的か知らないが、手段は面白かった」
と満足した様子を見せる羅漢。
「ただ過去の棋譜を元に、彼女のような碁を打つ人間が現れないか、義父上はそう思っているのかもしれません」
「……過去を求めているのか?」
「いえ。どちらかといえば、次へとつながっていることを求めているやもしれません。いや、義父上がそこまで考えているかな?」
これは壬氏への対応を見た羅半の見解です。
しかし確かにこの碁大会は、鳳仙の忘れ形見である猫猫の恋路につながっています。
なろう版を読んでいるけど原作小説も気になってきた…
そんな方に『薬屋のひとりごと』3巻1,980円分を、198円で買う方法をお教えします。
漫画・画集も同じく安くなります!
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何冊でも購入できるのが魅力!
割引適用したい分を一度に会計してくださいね
-
- 小説4巻【2,640円➡640円に】
-
- 画集【2,970円➡970円に】
-
- 漫画版(謎解き手帳)3巻【2,277円➡277円に】
まとめ・小ネタ
- 17年前、羅漢と鳳仙の恋はバッドエンドを迎えた
- 羅漢は死んだと思っていたが鳳仙は梅毒を患いつつ生きており、17年越しに身請けした
- 鳳仙は約1年後に亡くなるも、羅漢はいまだ愛しつつ前を向いて生きている
これぞ純愛。完成された愛の形でした。
羅漢の身請け話が収録されているのは
★原作小説……2巻
★コミカライズ①謎解き手帳……7巻
★コミカライズ②ねこクラゲver……8巻
です。
ここからはちょっと気になる小ネタです。
片喰と鳳仙花と梅
猫猫は片喰の花にたとえられ、鳳仙が名前の通り鳳仙花。
この二つは爪紅の材料になります。指に近い「爪」…皮肉ですね。
それに加えて梅梅の名前も花です。作者の拘りが感じられます。
鳳仙の母親はやり手婆?
作者の日向夏先生がpeing(ペイング)という匿名質問サイトで
Q:鳳仙産んだのはやり手婆?という質問に対し
A:するどいですねと答えています。
鳳仙産んだのってやり手婆ですか? | Peing -質問箱-
マジで!?
つまり…やり手婆は猫猫の祖母!?衝撃です。
小説化になろう版はバッドエンドのまま
実はこの羅漢のエピソード、小説家になろうと書籍版ではかなり違います。
小説化になろうでは猫猫と碁勝負した後に「妓女身請け」は持ち掛けられず、羅漢が負けて「はい、終わり」です。
悲しいよぉ…
あの感動エピソードを読み逃すのは勿体ない所業…
羅漢と鳳仙のエピソードに関しては、是非書籍版や漫画版を読む事をオススメします。
コメント
わかりやすくてほんと嬉しいです!
応援しています!
ありがとうございます~!
上手いし、とにかくかわいいイラスト、いつも分かりやすい説明に助かっています!これからも応援しています!
ありがとうございます!これからも頑張ります
とても分かりやすいです!
ありがとうございます!
原作、小説共に読み込んで感情表現豊かで場面が思い出さされました、わかりやすく簡潔で助かります!
そういっていただけると書いたかいがあります!
お読みいただきありがとうございますm(_ _”m)