薬屋のひとりごと|陸孫の正体と猫猫の関係。ダンス・求婚のワケと過去解説

薬屋のひとりごと|陸孫の正体と猫猫の関係。ダンス・求婚のワケと過去解説 薬屋のひとりごと
この記事は約21分で読めます。

猫猫は手首を掴まれた。いきなりのことで唖然とし、そして、皆がくるくる回る会場へと引っ張り込まれた。
「一曲だけ踊っていただけませんか?」
柔和な男という印象から食えぬ男へと変貌した。

薬屋のひとりごとで羅漢の部下として登場するキャラクター・陸孫リクソン
一度見た人物の顔を完璧に覚えるという特技を持つ、三十路の優男やさおとこです。

作品内でも女性人気が強い陸孫。
ですが作者はXでこんなことを呟いています。

今後、雀さんかこいつ(陸孫)がなんかやらかす(ネタバレ)。
なお伏線はすでにばらまいているので、何をやらかすのか想像すると楽しいかもしれない。

いったい陸孫は何者なのか?
この記事では猫猫との関係や衝撃の過去など、その正体をまとめていきます。

原作小説最新刊までのネタバレを含みますのでご注意ください。

猫猫との出会い


陸孫の登場は原作小説の5巻。
猫猫を白娘々パイニャンニャンの劇場に誘った義兄ぎけい羅半ラハンが陸孫を連れてきました。

上司である羅漢が劇場を気にしていた為、何かあるのかと調査に来たようです。

「行きましょうか」
陸孫は丁寧に馬車の扉を開けた。まるでどこぞの姫君でも扱うそぶりだ。

初っ端から色男感

しかしそこは猫猫なので、「陸孫は変人(羅漢)の部下」という認識です。

その後、白娘々が行った奇術を解き明かした猫猫。
陸孫に有能さを知られた形になります。

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猫猫とダンス!?

猫猫

そして同じく5巻。
西都での(皇弟じんしの嫁選びも兼ねた)会合にて再会します。

「上司(羅漢)が都を出たくないそうで代わりに来ました」
「へえ、使えない上司ですね」

ここで

  • 人の顔を一度見たら忘れないという特技
  • けっこういい性格
  • 踏み込むけど踏み込みすぎない絶妙な距離感の持ち主

など、徐々に個性が明らかになっていきます。

人の顔が碁石に見える羅漢と相性のいい特技だよね

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お互い呼び捨てに

大広間で食事する猫猫に気を利かせる陸孫。

「ありがとうございます、陸孫さま」
気が利くのは、優男だった。
「敬称は無しでお願いします、猫猫お嬢様」

お嬢様呼びは許せない猫猫は、申し訳ない気がしつつ敬称を取ります。

「羅漢の」お嬢様って意味だからね……

「では陸孫で」
「では猫猫で。私はそれほど(酒に)強くないので、飲んでいただけるとうれしいのですが」

猫猫は、陸孫が使用人の顔や体形を覚えようとしていることに気付きます。

何かあった時の、防犯カメラ的な頼もしさ……!

当て馬を買って出る陸孫

舞台は(壬氏の嫁選びを兼ねた)西方式のダンスパーティーに。

陸孫に酒が入った杯を渡されたので猫猫が飲み干すと…

「ええ、西の商人が持ってきた酒ですよ。貴重なもので、それが最後の一杯です」
「ちなみに私は飲んでおりません、ということで」
「一曲だけ踊っていただけませんか?」

強引にダンスに連れ出されます。

「酒飲めない」って言ってたじゃん罠かよ…

急に男を出してきた陸孫。これには猫猫もときめ…

(あっ、やっぱ、変人の部下だ)
猫猫は、かろうじて薄皮一枚かぶっていた猫を剥ぐと、ひどい顔を見せた。

きはしませんでしたが…それを見た陸孫の反応は悪くありません。

口をぷるぷるさせて顔を伏せて噴き出すのをおさえている。
「話には聞いておりましたが、本当に」

猫猫「面白い女」認定されてる??

陸孫が猫猫をダンスに誘った理由は、壬氏への当て馬でした。

猫猫の髪に挿された月(※)が入った簪を見て、壬氏の想いに気付いた陸孫。
(※壬氏の名前・華瑞月かずいげつから)

壬氏

「自分は庶子(妾腹しょうふく)」と羅漢とのつながりを認めない猫猫に、「羅の姫」としての自覚を促します。

「ええ。でも、貴方はもう少し自分の価値をわかったほうがいいと思いますよ」

そしてついでとばかりに…

ゆっくり(猫猫の)指先を顔に近づけると唇をつけた。

きゃー

猫猫は指先を軽く拭いましたw

知ってた……

陸孫の思惑通り、壬氏はしっかり「あの男はなんだ?」と怒っていました。

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【薬屋のひとりごと】じんしが猫猫にプロポーズ!ふたりの恋愛進捗まとめ

ちなみにですが

陸孫のエピソードは、漫画版ではまだ追いついていません。(2024年4月)

読めるのは原作小説のみ。
コスパ的にもお買い得なので、是非読んでみることをオススメします。

原作小説4巻がコミカライズ18巻になっている。 原作小説4巻の合計金額は2682円、コミカライズ18巻の合計金額は12529円。

コミカライズはサンデーGX版参照

陸孫は西都で何をしていたのか?

当て馬としての印象が強い5巻の陸孫。

しかし猫猫が出席させられた婚礼の宴や葬儀に出席しないなど、「陸孫は西都で何かをしていた」ということも仄めかされています。

これはのちに西都の長・玉袁ぎょくえんと会っていたと明かされます。

玉葉妃のお父さん!

さらに帰路の船上でのこの言葉。

「羅半殿、あちらに小鳥が見えますよ。いつ見てもきれいですね、ここ」

中央と西都を何度か往復しているととれる、何気ない一言も見られます。

西都に異動

都から西都への地図

作者様の消されたTwitterを参考に作成しています

7巻にて、陸孫は羅漢の部下から西都に異動になります。

これは

玉葉妃ギョクヨウヒが正室に

父である玉袁ぎょくえんに名を与える(出世させる)ため、西都から都に来てもらう必要がある

玉袁「西都を息子に任せるのは不安だから、補佐に中央から人材送って」

陸孫が任命!

という経緯でした。

玉袁と陸孫の関係は…?

さらに壬氏側では陸孫が「誰の伝手で外廷勤務に入ったのか分からない」という話題も。

陸孫の人間関係に謎が生まれます。

ピリピリした関係の玉鶯と陸孫

陸孫が異動になって半年。

仕事は玉袁の息子・玉鶯ぎょくおうの補佐ということでしたが、与えられる仕事は雑務ばかりでした。

実はこの玉鶯はくせ者。
20歳年下の妹である玉葉の異国人めいた見た目が嫌いで、玉葉の幼少期から現在までずっと嫌がらせを続けています。

詳しく↓

薬屋のひとりごと・玉葉妃の正体は?子供や怖い一面についても!

提案も通らず動きにくい陸孫。

それでも雑務(集落の住民の訴え)から掴めるものを掴み、どうにもならないものは羅半を暗号手紙で頼るなど、できることをしています。

しかし注目すべきは陸孫➡玉鶯への感情
意味深な記述が幾つかあります。

彼(玉鶯)の目には若い頃から変わらぬ、野心にも似た向上心がある。
そのためか危うさすら感じることもあった。

他にも

  • 玉鶯の八重歯を見て目を逸らす
  • 玉鶯から貰った練り香水は絶対付けない

と、因縁が無ければしないような態度が見られます。

極めつけが陸孫の『人の顔を覚える特技』を見た玉鶯の言葉への反応です。

「もしかして、都で異能と噂されるの一族と血縁でもあるのか」

これに対し、陸孫は大うけします。

別に面白くないよね……

これは後に

過去に陸孫を玉袁の息子と誤解して殺そうとしたくせに、なにも気づいていなかったんだな

という笑いだと分かります。

なら動きやすいと安堵したのか、自分一人が根に持っていることががこっけいに感じたのか…複雑です

蝗害で大活躍

飛蝗

北から飛蝗が大量に飛来し、作物や衣類まで根こそぎ食らいつくす蝗害こうがい
この未曾有の大災害で、陸孫は修羅場への強さを見せつけます。

猫猫チュエ・馬閃と共に農村にいた陸孫。
「蝗害が来た」と早馬が来ても、焦る猫猫たちを尻目に危機感がない農民たち。

その意識を変えたのが陸孫でした。

「あなたがたの麦を買います。相場の倍で」
陸孫はがしゃんと思い音がする袋をテーブルの上に置いた。

農民の年収を軽く超える額の銭袋を見せ「買い取り期限は三日」と指定した陸孫に、農民たちは必至に働きだします。

しかしこの銭袋、中身は碁石ごいしでした。
羅漢の部下時代の癖で持ち歩いていたものでした。

今羅漢も西都に来ているから念のため…かもね

この機転のおかげで他の集落とは比べ物にならない程収穫できた農民たち。
農民側からの申し出で話はご破算になりますが、随分なハッタリでした。

そしてついにやってきた飛蝗の群れ。

ここの描写は壮絶さは読んで欲しい…


陸孫は飛蝗退治ではなく、一軒一軒を回り、空気穴から村人の不安な声を聞き取ります。
大丈夫だと言い聞かせ、虫が入っていく隙間を埋める作業。

村人の精神安定がなぜ必要かというと…

人は狂う。光がないと発狂する。
ただ、その声が届かぬ者もいた。
民家の一つから火が上がった。密閉した家から顔をひきつらせた老婆と子供が飛びだしてくる。子どもの手には火打ち石があった。

二次災害を防ぐため。
火事を起こして麦が焼けるのを防ぐ為でした。

視界を覆いつくす飛蝗。
終わりの見えない修羅場に猫猫ですら狂います。
そんな猫猫を気に掛けにきたのもまた、陸孫でした。

「猫猫」
肩を叩かれた気がした。振り向くと陸孫がいる。
「もう薬作りはやめてください。手が使い物にならなくなります」
猫猫の手は赤くただれていた。
(あっ)

この後、降ったひょうを頭に受けた猫猫は気絶してしまいました。

村から戻った後も陸孫の有能さは見え隠れします。
周辺の町へ炊き出しを、被害の大きさも計算して準備。

玉鶯の手柄になりますが、重要な実務は陸孫が請け負っています。

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猫猫に求婚!?その真意は

猫猫から見て修羅場に慣れていた陸孫。
何者なのかと疑問に思った猫猫は、陸孫に直接聞いてみることにします。

「気が狂いたくなるときほど、冷静になれとの遺言です」
「遺言?」
「ええ、賊に家を襲われまして、母や姉は私を見つからないように隠して、目の前で殺されました」

「声を出したら殺される。でも叫べない。母たちは、私が叫んで飛び出すことをわかっていて、猿ぐつわして手足を縛りました。何もできず、私は母や姉を見殺しにして生き延びたわけです」

お……重い…きつい……

隠さずに話された過去。
流石に疲れていたのかもしれません。

猫猫はこう返します。

「陸孫が生き残ったおかげで、この村は助かりました」

同情するでもない、フラットな猫猫の返答を陸孫は気に入ります。

「猫猫と私、けっこう相性いいと思いますが、求婚してもいいですか?」
「ご冗談を」
即座に返す猫猫。社交辞令を本気にするつもりはない。
「ですよね」
陸孫はくすくす笑う。

求婚されました。

エッ冗談なの!?軽い調子だけど流れ的には説得力あるよ!!

社交辞令で求婚はしませんが……
陸孫の真意は別のところにありました。

今後、陸孫は猫猫には近づかないほうがいい。彼女も近づかない、近づけないだろう。
その方が双方のためだ。陸孫は、そのために冗談めかして求婚などしたのだ。過保護な猫猫の周辺は冗談でも敏感に反応する。

求婚したのは猫猫を自分に近づけない為。

求婚は雀も聞いていたため壬氏に報告され、猫猫も壬氏が面倒くさいので陸孫の話題を避けるようになります。

軽い男に近づくな!ってなるよね

では何故近づけたくないのか?ということですが、それは後ろめたい計画があるから。
猫猫の謎解き能力を知る陸孫は、自分が事を起こした時、猫猫が近くに居られると困るのです。

ザワ……ザワ……

陸孫が衝撃の行動に【11巻】

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ここで陸孫が主役と言ってもいい衝撃の11巻。

玉鷺が蝗害の混乱に乗じて、隣国と戦を始めようとします。

陸孫も出席させられた「兄弟会議」にて、玉鶯はそれぞれ専門職で西都を支える兄弟たちを煽ります。

13人兄弟↓

「父上の望みは西都の繁栄。さて、おとなしく皇族に尻尾を振るだけで栄華を手に入れられるか?になれというのであれば、それこそ十七年前に滅びるべきではなかったか?」

この言葉に真に煽られたのは、兄弟ではなく陸孫でした。

17年前に族滅させられた戌(犬)の一族。

陸孫が生まれである戌の一族を

族滅させたのは玉鶯でした。

玉鶯の殺害

兄弟会議後、「拓跋たくばつ」という農民が玉鶯を訪ねてきます。
拓跋は実の玉鶯の兄で、戦を起こそうとする玉鶯を止めに来ました。

実は玉袁は子を成せず、玉鶯の父親は砂欧の商人だったのです。

その証拠である戸籍を持参し玉鶯を脅す拓跋。玉鶯は思わず拓跋を殺してしまいます。

そこに現れたのが陸孫でした。

そして衝撃の展開が訪れます。

「玉驚さまは逆賊に遭いました。そしてーー」
玉鷺の体が急に熱くなった。
「討たれました」
「私が来た時にはもう遅く、仕方なく私は逆賊を討ちました、と」
陸孫は、何を言っている?

こちらのセリフだが???

なんと玉鶯を殺した陸孫。

ミステリアスさはあれど、羅漢の部下ということで味方感が強かった陸孫。人気キャラがまさかの殺人です。
作者が「やらかす」と言っていたのはコレでした。

陸孫の目から、涙の粒が床に落ちてはじけた。
ーーおまえは誰だ?

理由もわからず死んでいく玉鶯。
過去の因縁があったわけですが、まずは陸孫は捕まるのか?という事です。

殺害後の処遇

西都の長の死に人々が集まってきます。
「玉鶯を刺した賊を殺した」という陸孫の言い分は、陸孫が玉鶯に冷遇されていたため疑いの目で見られます。

しかし……

「ん?そいつは嘘は言っとらん。人を殺した賊を殺した。それの何が悪い?むしろ警備をぬかったおまえらの責任だろ?」

それを庇ったのはまさかの羅漢。

「真実を見抜く」羅漢の能力は知られており、周囲も「羅漢の言なら…」と信じてしまいます。

おぉ……

そしてもう一つ衝撃の事実。

殺人に都合がよすぎる執務室は、なんとチュエが玉鶯を殺害するために整えたものでした。

陸孫が殺さずとも玉鶯は殺されていたのです。

陸孫は衝動的な犯行でしたが雀は別です。
遺体を検分するのは「西都の平穏を願う」医官が担当だと、きちんと調べていました。

詳しく↓

薬屋のひとりごと・雀(チュエ)の正体は?母親との因縁・馬良との仲も

猫猫も「本当に農民が殺したのか?」と疑問を覚えますが、求婚で距離を置かせたかいもあり、突っ込まずに終わります。

陸孫の殺人は無罪放免になりました。

これは中華風ファンタジーなので。そこは考慮を…

陸孫の壮絶な過去

陸孫は何故玉鶯を殺害したのか?それは17年前、陸孫13歳にまでさかのぼります。

陸孫が羅半や壬氏に比べて年上なのは、ここの年齢を調整したのかな?

の一族の息子として陸孫は育てられました。

【戌の一族】
西都を治める一族。陸孫の母は一族の中心人物。陸孫の姉が次代の長。
女➡代々女が長となる。夫をとらずに子を産むため蔑む者もいる。
男➡元服(15歳)で家を出る。商人or遊牧民(風読みの部族)になる。
商人になった一人が玉袁

玉鶯が暴動を起こす

ある日、戌の一族の屋敷の周りに人が集まり暴動が起きます。
母と姉が屋敷に残り、子どもである陸孫は玉葉の実家に逃がされました。

暴動が起こった理由は戌の一族が不正をしていると、中央に密告があり、

皇族を騙る逆賊を討てと勅命があったため。

密告書の内容はこうでした。

・石炭の採掘量を誤魔化している(真実。しかしとても今更)
・戌の一族が「帝の血を引く男児を有している、正しき継承者は我が一族にある」と豪語している(虚偽。してない)

陸孫がやり玉に挙げられました。
父親が分からない一族の弱みを利用されました。

陸孫は家を飛び出し、母と姉の元に戻ります。

あーーーー

たどり着くと、男を殺していた母。渦中にある陸孫に変装する姉。
陸孫は姉に猿ぐつわをされ、手足を縛られ行李こうり(箱)の中へ入れられます。

姉は二年後の陸孫の元服げんぷくのために作られた服を着ていました。

「母さん、私似合ってる?」
「ええ、そうね。大きくなったらそんな感じかしらねえ。声は出すんじゃないのよ」
「わかってる」

「陸孫が大きくなったらそんな感じかしら」
(もう見ることはできないけど)

声を出すと女だとバレるっていうのもあるけど、陸孫を怖がらせない為でもあるんじゃないかな……

あんたは、西の地を守るの。それが成の男の役目。何を利用してもいい、どんな相手でも使えるものは使いな」
歯を見せて笑う姉。

乗り込んできた暴漢・玉鶯に、母と姉は殺されます。

唾液で光る八重歯。日に焼けた肌。(略)ただ顔を覚えるだけではない。五感を使って覚えられるだけの情報を頭に詰め込む。決して、忘れぬようにー。

八重歯を見て目を逸らす伏線の理由はここにありました。

いつの間にか気を失った陸孫を見つけたのは玉袁でした。

「すまない、すまない。私のせいだ。私のせいなんだ」

玉袁は玉鶯の父親。
陸孫は噛みつきますが引き剥がすこともなく、玉袁は後悔で呆然としていました。

暴動の真相

中央に嘘(に真実を混ぜた)情報をリークし、暴動を起こしたのは玉鶯でした。犯行動機は

  • 自分が玉袁の実子ではなくと気づき、異国人である証拠が載った戸籍を葬る為
  • 陸孫が玉袁の実子だと誤解し、でっち上げで葬ろうとした
    (玉袁の『賢そうな子だね。息子にもらっていいかい?』を深読みした)

そして暴動に加担したのは、戌の一族を逆恨みしていた元風読みの部族などです。

偽のリークを通してしまった杜撰な中央。ただ石炭採掘量の誤魔化しだけは戌の一族に非があり、玉袁はこの弱みの解消取引に熱意を燃やします。

玉袁は陸孫と契約します。

将来玉袁の子供が何かやらかした時は玉袁が排除する。

「そして、おまえが西都を守るんだよ」
「これは風になった男の宿命だ」

不名誉なまま滅んだ戌の一族。

陸孫は現状恨みが勝って冷静さを欠くため、中央に行き、玉袁を手本として成長していきます。

母と姉の言葉を守るために……

実は玉袁からの委託殺人。玉葉后も容認?

玉葉后

玉袁との契約は、息子が何かしたとき玉袁が排除するというものでした。

しかし5巻。

西都は戌の一族の統治時代より栄えていますが、玉鶯のゆがみは健在でした。

結局玉袁は、排除の役目を陸孫に託します。

高齢かつ中央(西都から半月かかる距離)に行くことになったから…

「なんで、自分で手を下さないんだよ!」

玉袁の手引きという形で、西都へと戻ってきた。
玉鷺の監視としてーー。何かあった時の処刑人としてーー。

陸孫の殺人はある意味委託殺人でした。

そして玉葉后もまた、これを容認していたような手紙を陸孫に出しています。

この二人繋がりあったの…!?

暴動後中央に行く際、

「鶯兄さまが嫌いなの?」
「名前すら聞きたくない」
「そうなの?わたしも兄さまに嫌われているから、いつか狙われるのかしら?」
「………その時は、気が向いたら助けてやる」

たったこれだけの会話を、二人は交わしていました。
密なかかわりこそなくとも、玉袁の背中を追う、志を同じくするもの。

手紙の内容は

『御心のままに』

いくらでも言い逃れできる言い回しですが、これも玉鶯殺害を許諾する一文です。

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後日談

陸孫の心情

殺人という許されないことをしたが、罰せられる機会も失った陸孫。
誰もいないところへ行って野垂れ死にしようとやけを起こしますが…

『西都のために働くんでしょ!』

姉の空耳が聞こえます。

未曾有の蝗害で今だ混乱する西都。陸孫には仕事があります。

既に実務の大半を担っていた陸孫が居なくなったらヤバいよ…

陸孫が旅に出るのはまだまだ先だ。西都に活気が戻り、人々が笑って行き交うようになるまで。
母と姉の願いを叶えるため。
もう少しだけ、面倒くさい仕事を続けようと思った。

もっと詳しく↓

【西都劇は衝撃の展開へ】薬屋のひとりごと11巻【ネタバレ感想】

陸孫の趣味は壬氏いじり

しかしそう簡単に切り替えられるものではないのが人。

復讐を果たして投げやりになっている陸孫は、面倒ごとをひたすら壬氏に丸投げしようとします。

「(西都の顔役は)月の君がふさわしいかと」

「月の君におかれましては、ご機嫌麗しゅう、恐悦至極にございます」

「西都の最高責任者を出したほうがよろしいと判断しました」

楽しそうですねwww

これには壬氏も(#^ω^)ピキピキ。
しかし仕返しが出来ないまま中央に帰りました。

Xで明かされたさらに後日談

ここまでが原作小説の内容です。
壬氏・猫猫が中央に帰ったため、この後陸孫が何をしているかは謎でした。

しかし原作者・日向夏先生はXにて陸孫の後日談小噺を公開しています。

  • 羅半兄をこき使う
  • 鴟梟しきょう(新しく西都の長(顔)になる玉鶯の息子)をスパルタで仕上げる

そして

玉隼ギョクジュン小紅シャオホン、どちらに目を付けたのかは微妙ですが…

「有能な人材を育成する」という陸孫の行動から見れば、小紅シャオホンをしごいているのかと思われます。

小紅↓

玉鶯が死に、顔色を見る上司が居なくなった陸孫。
本来の性格を前面に出し、好き勝手しているように見受けられます。

充実しているようで何よりだよね…

ついでに回想で挿絵に登場するなど、距離があっても壬氏はいじります↓

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まとめ

陸孫の正体は

  • 壮絶な過去を持つ戌の一族の生き残り
  • 西都を守る者
  • 玉鶯殺害の犯人
  • 猫猫との関係は悪くないが、やらかす自分から離す為に距離を置いた
  • 壬氏いじりが趣味

でした。

何か違えば猫猫といい関係を築けた感じがするのに…

それどころではありませんでしたね。
是非とも幸せになってほしいキャラクターでした。

今後の陸孫の登場に関して原作者は

ねたがなければ(登場する)

とおっしゃっています。

ネタが無くなることを願いましょう。(駄目)

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この記事を書いた人
ザクロ

読書大好き、考察大好きのザクロと申します!
「どこよりも分かりやすい解説」を目指し、手描きのイラストや図を交え、「どういうこと?」とつっこみながら記事を作成しています。
シリーズものは新刊発売後、随時新情報に更新していきます。Xにて通知しますので是非フォローしてお待ちください!
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コメント

  1. こおり より:

    コメント失礼します。
    ザクロさんは陸孫の母が「声は出すんじゃないのよ」と言ったのは”陸孫を怖がらせないため”と書かれていますが、私は、”元服後の服を着て陸孫の身代わりになろうとしているのに声を出すと女だとバレてしまうため”というのも含まれると思います!

    また、羅漢は陸孫を庇った訳ではないのかな?とも思っています。羅漢が”人(玉鶯)を殺した賊(拓跋)を殺した”という意味なら庇っていることになりますが、”人(陸孫の姉・母)を殺した賊(玉鶯)を殺したという意味ならただ事実(羅漢の超能力的洞察力で感じた事実)を話しただけで庇った訳ではない気がするからです。羅漢が陸孫を庇って感動したという意見が多い中、陸孫も羅漢が庇ってくれたと思っている中、羅漢の性格を考えると私は後者を信じています。(笑)

    長文失礼しました。陸孫の再登場が待ち遠しいですね。

    • ザクロ ザクロ より:

      コメントありがとうございます!

      ⇒「声は出すんじゃないのよ」
      確かに!!女だとバレると作戦失敗だしそりゃそうですよね。両方の意味がありそうです。

      ⇒羅漢の発言
      難しいところというか、ちょっと読者の想像にゆだねる言い回しですよね。

      「人を殺した賊を殺した」は陸孫の言い分を繰り返した形ですが、陸孫が言っているのは「玉鶯が殺されていたので拓跋を殺した」という事実で、これを
      ・言っている事的には真実なので『賊』『人』を取り違えた可能性
      ・言葉遊び的に誤魔化した(陸孫を庇った)可能性

      両方あり得る気がします!
      う~ん…でも陸孫の焦りとか、何かを誤魔化そうとする気配なんかには気づいているのではないかな?と思ったり…
      ここの羅漢はミステリアスですね。

      陸孫出てきてほしいですね!

  2. 匿名 より:

    大変分かりやすい解説でした。陸孫の姉を見て気づいたのですが、作中に男装をするキャラがやたらと多くいますね。何か理由があるのでしょうか?

    • ザクロ ザクロ より:

      確かに(笑)
      陸孫の姉は陸孫のふりをするためなので致し方なしですが、阿多や翠苓は作者さんの趣味ではないですか?
      ただ単に女物より似合うのかもしれません。宝塚みたいでカッコいいですよね。

      • 匿名 より:

        個人的には男装キャラが好きなので嬉しい限りです。返信ありがとうございます。

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