猫猫「どうせ後悔するのです、ためらわずにまっすぐ道を進んでください」
「薬屋のひとりごと」小説9巻ネタバレ感想記事です。
西都行き(長期)の序章巻。
準備と船での往路が描かれます。
自らに焼き印を押した壬氏。それを見た猫猫の怒り。
散りばめられた伏線にも注目の巻です。
以下、ネタバレありの感想です。
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【続】壬氏の焼き印
前巻で自らに玉葉后の奴隷印を押した壬氏。
猫猫と二人になった後、主上が悲しんでいるのを見た壬氏は涙を流します。
猫猫は主上が玉葉后の手前飲み込んだ、「実子に対する想い」に感づきました。
壬氏は一番隣にいてほしかった阿多との息子。
もしそのことを話していれば壬氏は…
壬氏の覚悟が本物。それでも猫猫は怒っています。
薬屋のひとりごと
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事件のポイント
- 数日に一度、猫猫が往診
- 皮膚移植できるかも?
- 焼印は水蓮が準備した。(いつでも壬氏の強い味方!)
- 焼印は玉葉后との不倫にも見られる
- 焼印をいれなければ玉鶯の娘を娶らされていた(ギリギリ!)
- 壬氏からの呼び出しが羅半にバレていた
「いつ頃赤子はできそうだ?」
眼鏡をきらっとさせる羅半。
猫猫が「私はぴんぴんしている」と反論すると、それはそれで邪推するので爪先を踏みつぶされました。
あけすけすぎる…
外科医術を習うのか?見習い三人の進路
姚の叔父が姚に持ってくる見合い話から逃れる為、休暇を羅半の屋敷で過ごすことになった姚・燕燕。
羅門から、猫猫含めた三人に外科医術を教えてもらう為の試験が課されます。
試験内容は【とある医術書】を探して受け止めること。
探索パートで太極図・八卦などが登場しますが……分かりましぇぇん!!
太極図 – Google 検索
八卦 – Google 検索
見つけた【とある医学書】とは【華佗の書】。
緻密な人体解剖図が載った本でした。
華佗とは皇族の末端で、遺体の腑分けを率先して行っていた人物。
故に医術に貢献しましたが、やりすぎて処刑されました。
外科は不浄、倫理的にも禁忌と考えられており、
さらに女性では医官になれない茘。
姚・燕燕はこの先に進むことに迷いを見せます。
相違する想い
そこに影響を与えたのが羅半の言葉でした。
- 厳しい仕事なので、他人の意見で左右されるようならやめとけ
- ただ、本当にやりたいことを目指すなら心情が美しい
そして
「意固地になって、優秀な人が合わない道を選んでほしくないだけだよ。それはとても非効率で美しくない」
羅半の発言を受け、姚は前を向き、燕燕はうつむきます。
最後の言葉は燕燕に向けた言葉。
姚は父が死んだ後叔父と再婚した母を見て、「仕事」を強く欲しました。
故に、忌避され誰とも添い遂げられない可能性についても
「たかだか血に怯えるような肝の小さい男ならこちらから願い下げよ」
と、払いのけます。
カッコいーー!!
それに同意できない燕燕。
お嬢様(姚)のお世話がしたい…その一心で医官見習いになった燕燕は、自分と、姚が人を解体することに前向きになれない様子です。
二人の処遇は次巻以降に持ち越しです。
外科実技訓練
壬氏が圧力をかけた為、猫猫のみ実技訓練を受けることに。
鶏➡豚➡牛➡死人の順に解体していきます。
鶏を捕まえて切り刻み、内臓を取り出し……進むにつれて人数は減っていきます。
(砂肝、串焼きにして塩をぱらっと振りたい)
猫猫は生き残りました。
途中、焼き印往診の際に血の臭いに気づいた壬氏から香を貰うことも。
高級なものではなく”官女としてはちょっと背伸びしたくらいの香”なのがミソです。
天祐と共に合格し、5日後西都へ出立です。
【西都行き】概要
目的・滞在期間
玉葉后の故郷、西都に二度目の訪問です。
行きだけで半月かかるのになぜ行くのか?というと
玉鶯に羅漢・壬氏が呼ばれたから。
期間は短くて3か月(移動込み)です。
メンバー
大物二人が行く為、今回はかなり大所帯。
ポイントは青字の人物です。
壬氏組……壬氏・水蓮・高順・桃美・馬良・雀・馬閃(別ルート)
医官組……猫猫(見習い)・天祐・楊医官(上級)・李医官(中級)・やぶ医者(護衛に李白)
他…羅漢・音操(羅漢の副官)・羅半兄(蝗害のための農業指導)
ここで大変なのが壬氏様。
- 玉鶯が羅漢を懐柔しようとしている可能性があるため、やぶ医者を羅門の身代わりにして玉鶯の勘違いを狙う
- 蝗害も心配なエリア。万が一に備える
- 入れ替わりで中央にやってくる、玉鶯の娘から逃げる狙いも
玉葉后、あとお願いします……
西都行き道中まとめ
9巻は西都到着前で終わります。
船で移動し、外交の為に属国・亜南に立ち寄ります。
トロピカルな雰囲気の亜南では、
- 会食での毒見中、羅漢に「あちらのお客様からです」されたり
- やぶ医者が行方不明になって町に探しに行ったり…
そんな中、異彩を放ったのが新キャラ・雀さんでした。
馬良の嫁・雀のナゾ
「地味な割に良く動く。それが売りの雀さんです。気軽に雀さんとお呼びください」
にこっと笑いながら、くるんと回転し、わけのわからない姿勢を取る。
西都旅で一番猫猫と行動する人物・雀。
地味顔ですが、その分中身が濃い人物です。
雀はなんと、馬良の嫁です。
【馬の一族まとめ】
皇族を護衛する一族。
今回、麻美以外全員が壬氏に同行。
父:高順
母:桃美
長女:麻美(自分と雀の子の子守で居残り)
長男:馬良←雀が嫁入り
次男:馬閃
馬良と雀は政略婚。
馬の跡継ぎが欲しい桃美・麻美。
子育てを麻美に丸投げする雀。
ギブアンドテイクです。
「夜は黙って横になっていれば、嫁がなんとかするからと姉に言われましたので」
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割りきっている馬良ですが、仲は悪くない様子。
では、皇族護衛の馬の一族と政略婚をした雀は何者なのでしょうか?
答えは皇族直属諜報部隊・巳の一族の傍系。
表を守る馬の一族、裏を守る巳の一族。
そんな彼女が何故猫猫と行動するのかは、明らかになっていません。
薬屋のひとりごと・雀(チュエ)の正体は?母親との因縁・馬良との仲も
【キーパーソン】陸孫
もう一人押さえておきたいキーパーソンが陸孫です。
羅漢の元部下であり、玉袁に引き抜かれ、現在その息子・玉鶯に仕えて半年以上……
窓際業務で玉鶯にいびられていました。
雑務を与えられ、他の役人も助けてくれないアウェー状態。
こんなとき、頼れるのは羅半です。
陸孫は小麦の収穫量改ざんを密告します。
ところがこの改ざん、実際より「多く取れました」と報告している不可解なもの。税金を余分に払っているのです。
通達していた「蝗害対策」をせずに、収穫量が減ったから隠しているのではないか?
武将のような、快活で下の者思いの領主・玉鶯。
彼は一体何を考えているのでしょうか?
【伏線】陸孫のナゾ
さらに不可解なのは陸孫です。
元商家で適性もありそうなのに、誰かの伝手で文官になったのは何故でしょか?
玉鶯とのやりとりにも妙なところがあります。
人の顔を覚える特殊な能力を見た玉鶯の「異能と言われる羅漢の血縁じゃないのか?」という発言を、
西都にきて一番面白かった話かもしれない。
どんな旅芸人の冗句よりも面白い。
と、絶賛します。
言う程面白い?
共感できない陸孫の感情。そのヒントになりそうなのが、下記の何気ない文です。
彼(玉鶯)の目には若い頃から変わらぬ、野心にも似た向上心がある。
陸孫は元々玉鶯を知っていたのではないか?
陸孫も元商家、玉袁も商家。何かエピソードがあってもおかしくありません。
【猫猫】壬氏を壁ドン
『羅門に何かあれば猫猫が悲しむ』と考え、やぶ医者をおとりにした壬氏に猫猫は思います。
(物なら物として認識して、命令すればいいのに)
『気遣い嬉しい~』じゃないのが猫猫らしい
能力が高いのに情が捨てきれない。
羅門に似た貧乏くじを引く性格に、猫猫は苛立っています。
壬氏の『焼き印を押す』という自傷行為も、膝を砕かれ去勢された羅門に被りました。
二人きりの露台で猫猫は壬氏に壁ドン。
「誰かのお荷物になるくらいなら、道具のように扱われたほうがまだましです。
あなたの迷いはそのまま国の迷い。一時の迷いが数万の民を殺すこともありましょう。どうせ後悔するのです、ためらわずにまっすぐ道を進んでください」
壬氏の気遣いを「不要」と切り捨てる猫猫。
守られるだけの女ではありません。
恋愛からほど遠い考え方ですが、茘では女は男を支えるものと考えると……
逆に夫婦感があるかも……
この後猫猫は、壬氏に頼まれて頬を引っ叩き……
自発的に「痛いの痛いの飛んでいけ」と、頬に軽く口づけます。
「反対側も頼む」
「……嫌です」
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まとめ
- 焼き印問題
- 外科医術
- 西都行きの概要と不安要素
- 注目人物と伏線
- 猫猫の心情
についてまとめました。
長期にわたる西都編の始巻なこともあり、謎が多い多い……
故に、不明すぎる話題はあえて外して書いております。
次巻からはそこも含め、かみ砕いてまとめていきたいと思います。
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コメント
じんし様需要しかない…!!
その通りですね!٩(ˊᗜˋ*)و
すっごくわかりやすくて面白くて絵も綺麗で大好きです!
応援しています!
じんまお神〜!
そう言っていただけると嬉しいです。
ありがとうございますm(_ _”m)