この記事では、宮沢賢治の『やまなし』を読んで
全然分からん…どういう意味??
となった方へ、つまづきポイントを一つ一つ解説していきます!
あらすじ
まずは簡単にあらすじを、自己解釈にて紹介します。
《あらすじ》
これは5月と12月の谷川の底を映した、2本の映像です。
二匹の子供の蟹が、青白い川底で「クラムボン」について話しています。
※クラムボン=トビケラの幼虫説があります。
5月。
クラムボンはぷかぷか笑っていますが、頭上を魚が通り過ぎたことで殺されました。(食べられたと思われます)
なぜ殺されたのか?子蟹たちにはわかりませんでした。
子蟹たちには、魚が悪いことをしているように見えています。
更にかわせみが川の中に魚を取りに来たのを見て、子蟹たちは怯えます。
12月。
かなり成長した子蟹たち。吐く泡の大きさ比べをしていた夜に、いきなり「トブン」と川に何かが落ちてきて、また上がっていきました。
カワセミかと怯える子蟹たちでしたが、お父さん蟹が「やまなし」が落ちてきたのだと教えてくれます。
流されていくやまなしを追いかける三匹。
枝にひっかかって止まったやまなしは、とてもいい匂いがしました。
二日ほど待つと沈んできて、おいしいお酒になるそうです。
お父さん蟹に帰って寝ようと言われた子蟹たち。三匹は自分たちの穴に戻っていきました。
映像はこれでおしまいです。
幻燈って何?
小さな谷川の底を映した二枚の青い幻燈です。
やまなし一行目の文章です。
幻燈とは昔の投影装置です。
今から谷底の青い写真映画を投影しますよー
投影写真は二枚ですよー
という感じです。
ちなみに何故二枚かというと、やまなしは二章から成るためです。
『一(章)、五月』『二(章)、十二月』。
五月と十二月、二枚の写真です。
クラムボンって何?
『クラムボンはかぷかぷわらったよ』
蟹の子供たちの話に出てくるクラムボン。
作者・宮沢賢治の造語であり正解は判明していません。
それを考えさせようとして、教科書に載せてるのかも…
ですので、長年の議論で有力な三つの説をご紹介します。
①蟹の泡説
クラム→クラブ→カニ
ボン→ボム(爆弾)→はじける泡
で、蟹の泡じゃないか説。
②特に意味なし説
音の響きからテキトーにつけた説。
③トビケラの幼虫説。
個人的にイチオシ考察。
トビケラの蛹は空気をまとって水面に上がり、成虫になる。
さらに5月はトビケラ羽化のピークであるらしい。
下記の記事の説得力が凄いです。
ついに解明?!「クラムボン」の正体|todomadogiwa (note.com)
何故タイトルが「やまなし」?作者が伝えたいことは?
タイトルに関してちょっと不思議ではありませんか?
クラムボンのほうがインパクトあるよね~
ですが蟹たちにとってはそうではありません。
外の世界に飛び立つトビケラの幼虫(仮定)より、
川の中に入ってきたやまなしが重要です。
やまなしには、魚を鳥に捕られて怖がる蟹の子供たちに
「魚は捕られるけど、こっちもいただいているんだよ」ということを教える存在です。
つまり作品全体で描かれる「食物連鎖・自然の輪廻のポイント」として重要な存在。
ゆえにタイトルになったとも考えられます。
個人的な考察です…
「イサド」ってどこ?
『あしたイサドへ連れて行かんぞ」
イサドは宮沢賢治の造語であり、地名です。
『種山ヶ原』という作品にも「伊佐戸の町」が登場していますが、岩手のどこかをモデルにしているのか…
詳細は判明していません。
語句イメージ「金雲母」他
物語の解像度を高める為、物語内に出てくる語句のイメージ画像をまとめました。
(※画像先楽天市場です)
↓金雲母
↓水晶
↓かわせみ
まとめ
今回は、宮沢賢治『やまなし』について解説しました。
- 幻燈は写真映画
- クラムボンはトビケラの幼虫説が有力
- やまなしは食物連鎖のポイント。 蟹にとって重要度が高い
- イサドは宮沢賢治が造った地名
意味が理解できることでストレスが減り、やっと作品の面白さに気付くことができます!
他にも宮沢賢治解説記事を書いていますので、気になった方は是非ご覧ください↓
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コメント
とても面白くて興味がわいてきました
そう言っていただけると嬉しいです!是非読んでみてください(⌒∇⌒)
ありがとうございます!!
とても面白くて心にふひびきました。