この記事では『鬼人幻燈抄』大正編(計3巻)
- シリーズ8巻目:大正編『紫陽花の日々』
- シリーズ9巻目:大正編『終焉の夜』
- シリーズ10巻目:大正編『夏雲の唄』
のネタバレ要約・感想をまとめてお送りします。
前巻、娘・野茉莉から自分の記憶が消されてしまい、妖刀・兼臣と共に京都を去った甚夜。
大正編の舞台は近代化する東京です!
かなり新キャラ登場の大正編。しかしあの人も登場…!?
以下、ネタバレ有りの感想・要約となりますのでご注意ください。
敵は『妖刀使いの南雲』

大正編の敵は、退魔の家系『妖刀使いの南雲』です。
兼臣の亡くなった主人が「南雲和紗」でしたが、和紗(孫)の死を受けて変わってしまった「叡善」がラスボス。
他にも大正に入り「急激に近代化する社会」に歯向かおうとする者たちとの戦いが描かれます。
妖怪爺・叡善

今回メインの敵は、『妖刀使い・南雲』の爺・叡善(えいぜん)です。
これが『人を多数殺害し、命を貯蔵して自分が使う』という妖怪爺でした。
性格が悪辣ですが、甚夜個人との因縁としては、お互いに『刀』です。
- 甚夜の持つ『兼臣』は、叡善が娘・南雲和紗に贈ったもの。だからこそ取り返そうとしている。
- 叡善が持つ『鬼哭』は、義父・元治が使っていた妖刀。鬼(甚夜の義理の母親・楓)が封じられていることもあり、妖怪爺に使われるのは我慢できない……
というものでした。
これに加え、偶然かかわりを持った赤瀬家の当主・充知の頼みが加わって、叡善とやり合うことになります。
甚夜がじいやになる

結婚相手の親戚(叡善)が化け物で、自分の娘(希美子)を狙っていると知ってしまった充知。
充知は強いと知っている甚夜に「娘を守ってくれ」と頼みこみました。
というわけで、大正編で甚夜は護衛を兼ねた「赤瀬家の庭師」として、紫陽花の剪定なんかをしています。
希美子や、後に加わる溜那からは「じいや」と呼ばれて、親しまれる存在です。
ちなみに、なぜ希美子は叡善に狙われたのか?
充知は詳しく知りませんでしたが、叡善は自分の老いた体から希美子の若い体に乗りうつり、新当主を名乗ろうとしていたのです。

やばいですね
向日葵との共闘

そして、今回限りは向日葵とも完全な共闘関係を結んでいた甚夜。
これは利害の一致と、裏切る可能性が低いとみてのことでした。
向日葵の妹(古椿)や母(鈴音)の研究結果が叡善に利用され、怒っていた向日葵。
一方甚夜としても、叡善が向日葵の能力(千里眼)を警戒してくれれば動きやすくなります。
希美子や溜那を奪い合う戦いである以上、非常に有利になる能力です。
コドクノカゴ・溜那とは?

溜那(りゅうな)は南雲の屋敷の地下牢に囚われ、「7年かけて体を作り替えられた」特殊な少女です。(14歳)
どのように作りかえられたのか?
男を惑わす「媚薬」のような加護を与えられており、「現代に仇を成す鬼」を生み出す存在として作り替えられました。
叡善は退魔の家系である南雲を栄えさせるために、鬼を増やそうとしていたのです。
しかし、未完成の「コドクノカゴ」になる前の状態で、溜那は甚夜に奪還されました。
枷をはめられ、自殺も許されなかった溜那。
それでも溜那は甚夜に問われて「生きること」を選びます。
大正編最後には、心から「生きていてよかった」と笑えるようになった彼女。
見事幸せを手にしました。
南雲の屋敷で最終決戦

南雲家での最終決戦。
キーマンとなったのが、吉隠に巻き込まれた少年『藤堂芳彦』でした。
吉隠に刺された後、吉隠の能力『戯具』で生かされていた芳彦。
『戯具』を解かれると芳彦は死んでしまうため、脅しに従うしかありませんでした。
しかしそんな状況でも、芳彦は向日葵と共闘し、覚悟を決めて動きました。
南雲本家の屋敷に小細工をして逃げる隙を作り、逃げる際も吉隠の不意打ちに気付いて希美子を庇います。
そんな芳彦に甚夜・井槌・向日葵・岡田貴一が助太刀。
叡善は「死んで蘇生するときに、心臓が優先される」という欠点があり、それに甚夜が気づいたため、長い苦しみを味わいながら死亡。
そして『戯具』を解かれた芳彦は、
- 解かない限り決して死なない『戯具』の状況
- マガツメの臓器培養技術
- 海外で確立された臓器移植の知識
によって命を繋ぎました。
新登場する4匹の鬼

叡善には仕えている4匹の鬼がいました。それがこちらです。
- 吉隠(よなばり)…半月(はにわり)…つまり男と女、両方の特性を持っている。
- 偽久(いきゅう)…退屈が手にあまり、叡善に従っていた。あっさり岡田貴一に敗れる。
- 井槌(いづち)…ガトリンク砲を使う若い鬼。甚夜に負け、甚夜サイドに寝返る。
- 古椿…マガツメの娘だが、叡善によって別物に造りかえられて自我が無い。心の弱い人間の意識を乗っ取って操る。
この中で一番厄介な敵が吉隠でした。
愉快犯的な行動をとり、一番倫理面がイカれているのも厄介です。
最凶の敵・吉隠

吉隠が仕掛けてきたのは、まさに関東大震災の真っただ中でした。
「大正の世に一石を投じたい」「そうしたほうが楽しそう」……そんな前向きな気持ちから、動いていた吉隠。
・叡善の下についたのは、鬼哭の妖刀を手に入れるため。
・溜那を化け物変えて、一緒に現世を滅ぼしたい。
そしてこれは中々のところまで成功します。
自身に鬼哭に封じられていた「夜風」を宿し、夜風の能力「織女(はたおりめ)」で溜那を化け物にした吉隠。
溜那を殺さずに助けようとする甚夜でしたが、まさにギリギリの戦いでした。
甚夜が100歳時に得た独自の能力「合一」で、3つの技を合成し……
助けた時にはボロボロの状態に。
そこに攻撃をかけようとした吉隠を、阻止したのが岡田貴一でした。
銃弾を逸らすなど、常人離れした技を見せつつ足止め。
しかし……
その後の戦いを譲られた甚夜は、吉隠を死に体にするも逃げられてしまいます。
死闘を繰り広げていた甚夜に、追いかける体力は残っていませんでした。

まだ戦いは続きます……
平吉・野茉莉との再会

南雲の屋敷で平吉(秋津染五郎4代目)と再会した甚夜。
染五郎は60歳を超えた今でも、妻・野茉莉にに心底惚れているそうです。

甚夜の「義息子呼び」がぐっときますね
事が落ち着いたある日、染五郎から「手紙を代わりに渡してきてほしい」と頼まれた甚夜。
向かった先にいたのは、おばあさんになった野茉莉でした。
「なにを。貴方との逢瀬に文句などあるはずもない」
鬼人幻燈抄:10大正編 夏雲の唄より
一日エスコートした甚夜は野茉莉から「今幸せだ」という言葉を聞くことができました。
さらに、野茉莉の子供は「仁哉」という名前だそうです。
「父様の母様になる」と言っていた野茉莉。その約束を叶えようとした結果でしょうか?
甚夜は最後に、野茉莉の母親・夕凪の能力『空言』で夕暮れ草原の景色を見せ……
その空間と共に姿を消しました。
大団円エンド

南雲の屋敷での決戦後、芳彦に恋をした希美子。
その後甘酸っぱい恋愛模様も描かれます。
向日葵は鈴音の元に帰りましたが、貴一や井槌も芳彦の周囲でわちゃわちゃしており、大正編は本当に大団円エンドでした。
甚夜が何も守り切れなかった明治編。
しかし充知から押し付けられた「守る」という仕事を完遂した甚夜は、大正編で少し前向きになれたのではないでしょうか?
キネマ館改め『暦座』は、太平洋戦争で焼け野原になった後も再興し、平成まで続いています。
平成時代も、100歳超えの芳彦&希美子夫婦が運営。
こんなに長生きできたのは、老いない井槌や溜那が傍にずっといる影響かもしれません。
伏線:元木宗司が甚夜を恨んでいる?

しかし一つだけ不安要素があるとすれば……
南雲叡善のパーティーで出会った元木宗司と三枝小尋(さえぐささひろ)。
一歩踏み出せば恋愛関係になりそうな二人ですが、小尋が気まぐれな吉隠の餌食になってしまいます。
行方不明の小尋を探しまわる元木。
そんな元木が見たのは、甚夜が小尋を倒して「同化」で取り込む姿でした。
これは千尋が古椿に取り込まれた姿で、既に千尋自身は亡くなっているも同然だったのですが……
吉隠がこの後「小尋を殺したのは甚夜だ」と偽情報を吹き込んでいることもあり、
叶わない相手と自覚しながら、復讐心が募っていると思われます。
- この結末は昭和編にて:鬼人幻橙抄小説11巻【ネタバレ感想】昭和編・花街夢灯籠 怪異の花街と色男甚夜
まとめ
以上、大正編のネタバレ要約感想でした。
- 1巻・葛野編
- 2巻・江戸編
- 3巻・江戸編
- 4巻・幕末編
- 5巻・明治編
- 6巻・明治編
- 7巻・明治編
- 8巻・大正編
- 9巻・大正編
- 10巻・大正編
- 11巻・昭和編
- 12巻・平成編
- 13巻・平成編
- 14巻・平成編(完結)
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