鬼人幻燈抄小説3巻【ネタバレ感想】江戸編・残雪酔夢 鈴音再登場!?

鬼人幻燈抄小説3巻【ネタバレ感想】江戸編・残雪酔夢 鈴音再登場!? 鬼人幻燈抄
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鬼人幻燈抄シリーズ第3巻、『江戸編 残雪酔夢』。

第2巻から引き続き、舞台は江戸時代
心温まる前巻から打って変わって、さらなる悲劇と悲しみが甚夜に襲いかかります…!

そして10年以上姿をくらませていた妹「鈴音」がついに動き出す!?

甚夜は大切な人たちを己の手で守ることができるのかーーその結末を余すところなくネタバレ解説します!

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登場人物

今巻の登場人物相関図

須賀屋の主人・重蔵の実子が甚夜。養子が奈津。
須賀屋2代目が善二。
夜鷹は甚夜の知り合いで、三浦直次の想い人。
三浦直次は蕎麦屋・喜兵衛の店主と兄弟。その店主とおふうの元に通う常連客が善二、甚夜、奈津、直次。

また、秋津染五郎3代目も登場。

主要な登場人物をまとめています。

甚夜(じんや)
第3巻では32歳~34歳ごろまでが描かれる。
江戸で「鬼を討つ浪人」として働きつつ、妹で鬼の「鈴音」を追い続けている。
「鬼人」となってからは、見た目が18歳ほどで止まっている。

重蔵(しげぞう)
小間物を取り扱う商家「須賀屋」の主人。
甚夜の実の父親で、現在は奈津を養子として迎え溺愛している。

奈津(なつ)
重蔵が引き取った義理の娘。17歳。
重蔵を実の父のように慕っている。

善二(ぜんじ)
須賀屋の手代だったが、晴れて番頭に。
人懐っこくて親しみやすい性格。

三浦直次(みうらなおつぐ)
旗本三浦家の嫡男で右筆を務める。
夜鷹に出会い惹かれていく。

蕎麦屋店主とその娘・おふう
深川で蕎麦屋「喜兵衛」を営む父娘。
その正体は行方不明となっていた三浦直次の兄・定長と、「幸福の庭」で出会った鬼の少女。

夜鷹(よだか)
道端で男に声をかける貧しい辻遊女。
色気があり謎めいた女性。

秋津染吾郎(あきつそめごろう)
名高い金工職人「秋津染吾郎」の名を名乗る京都弁の男。
何やら式神のような術を使う。

江戸編 残雪酔夢を分かりやすく解説

ここでは『鬼人幻燈抄  江戸編 残雪酔夢』を短編ごとに分かりやすく解説します。

ネタバレが含まれますのでご注意ください。

夜桜の下

夜桜

嘉永七年(1854年)。

いつものように江戸の町で鬼討伐をしていた甚夜は、一人の辻遊女・夜鷹と出会います。

「夜鷹」とは吉原で働く高級遊女とは違い、道端で男に声をかける貧しい娼婦のこと。
本名を聞いてもなぜか明かそうとはせず、どこか謎めいた女性です。

そんな彼女に依頼され、甚夜は「夜桜の下で男を殺す鬼女が出る」という怪異の調査を始めます。

鬼女の正体は、吉原で働いていた遊女。
病気になり吉原から追い出され、「夜鷹」へと身を落とした女性が、男への恨みを募らせ鬼となった姿でした。

甚夜に依頼してきた夜鷹は、哀れな鬼女に自分自身を重ね、引導を渡してあげたかったのです。

これ以降、夜の世界を生きている夜鷹は、甚夜に怪異の情報を流してくれる重要人物となっていくのでした。



花宵簪

ほととぎす

浅草寺のほおずき市に繰り出した奈津おふう

そこで名高い金工職人「秋津染吾郎」の名を名乗る一人の男と出会います。
京都弁を話し、どこか胡散臭いその男から金属製の簪をもらった奈津。

するとどうしたことか、簪をつけた奈津の様子が一変し、甚夜のことを「お兄様」と呼んで縋りついてきたのです。

「鳥が花に寄り添うのに、なんの理由がいりましょう。私はただ、お兄様の傍にありたいと願っただけです」

『鬼人幻燈抄 江戸編 残雪酔夢』中西モトオ,花宵簪

熱に浮かされたような奈津の言葉に、甚夜は困惑します。

実の妹・鈴音のことを思い出すから、甚夜は「兄」と呼ばれるのが苦しいのよね

奈津を元に戻すため、元凶である秋津染吾郎を探し出した甚夜でしたが、一目で鬼人だとバレてしまいます。

実は秋津は、犬の置物やおもちゃなど「物に宿る想い」を付喪神つくもがみに変え、式神のように操って鬼を討つ付喪神つくもがみ使い」の三代目だったのです。

秋津の助言により、以前「喜兵衛」の店主からもらったこうがい(武士が髷を作るときに使うもので、刀装具とうそうぐのひとつ)を奈津に手渡した甚夜。

簪と笄は一つに溶け合い、ほととぎすとなって空に消えていきました。

どちらもかつての秋津染吾郎の作品であり、簪は女性もの、笄は男性もので兄妹のようなもの。

物にも想いが宿り、妹の簪が兄の笄を探していたのでした。

簪が消え、無事に奈津も正気を取り戻して、一件落着だったんだけど…。

奈津は甚夜の実の父、重蔵が養子として迎えた義理の娘。

だから余計に甚夜は奈津を大切に思っていたのですが、このあとの「残雪酔夢」で二人には悲劇が待っていたのです…(泣)

余談 雨夜鷹

武士と遊女

安政二年(1855年)。

武士の三浦直次は、浅草の商家の軒先で雨宿りをしている中、辻遊女の夜鷹と出会います。

武士と遊女という身分の差がありながらも、お互いにどこか気になる存在となっていく二人

けれど雨の中、黒い人影が現れ、じっとこちらを見ていることに気づきます。

直次にはそれが失踪した兄の姿に見え、夜鷹にはまた別の人間(昔の男もしくは実の兄?)に見えていました。

雨の日にだけ現れる黒い影…。実はその正体は見る人によって形を変える「怪異」だったのです

甚夜にはその黒い影が、義父でもあり恩師でもある「元治」に見えていました。
かつて過ごした葛野の日々を思い起こし、甚夜は苦い思いでその影を討伐します。

甚夜、夜鷹、直次、それぞれに未練を残した存在がいて、未だ囚われている…というショートストーリー。

そして物語の時間軸は交差し、舞台は現代(2009年)へと変わります。

兵庫県のとある高校に通う女子高生みやかは、芸術鑑賞会で「雨夜鷹」という劇を鑑賞することに。

「雨夜鷹」は夜鷹と武士の恋を描いた作品で、夜鷹は実在した人物であり、その手記を元に作られているとのこと。

するとクラスメイトでもある一人の男子高校生がポツリとこぼします。
「直次の友人である浪人が、ことごとく無能に描かれている点が解せん」「夜鷹の手記には悪意を感じる」などなど…。

この男子高校生、もしかしなくても現代まで生き続けている甚夜に間違いない!

そして「雨夜鷹」の劇中には気になるエピソードが描かれているのです。

  • 武士と夜鷹は夫婦である=直次と夜鷹はいずれ夫婦になるらしい!
  • 浪人には娘がいる=甚夜に娘ができる!? 奥さんは誰!?
  • 夜鷹は浪人の正体が鬼だと気づいていたけれど知らないふりをしてくれていた=どうやってバレるんだろう!?

などなど、気になる伏線がてんこもり状態です。

今後物語が進むにつれて、このあたりが描かれていくと思われます!



残雪酔夢

こぼれるゆきのなごり

その年、甚夜の実父、重蔵が営む「須賀屋」の番頭に任命された善二

彼を祝う席を設けるため、「喜兵衛」の看板娘・おふうと買い出しに出かけた甚夜は、ある一軒の酒屋に行列ができているのを目にします。

客の目当ては「ゆきのなごり」という名の銘酒。

偶然その酒を持っていた善二は、自分の祝いの席に集まってくれた面々に酒を振るまいます。
なんでも主人の重蔵が、毎晩「旨い旨い」と呑んでいるとのこと。

けれどその酒は、なぜか呑む者によって辛かったり薄かったりと味を変える奇妙な酒でした。

違和感を感じて調査に乗り出した甚夜の前に、付喪神使い・三代目秋津染吾郎が現れ、「あの酒を呑むと正気を失くして乱暴になる」という情報をもたらします。

そして同じころ、近所に住んでいた男が「ゆきのなごり」を呑み続けた結果、鬼へと変貌する姿を目撃。

慌てて販売元の酒屋の主人を問い詰めると、驚愕の事実が判明します。

  • 数年前、金色の髪をした美しい女が現れ「人を堕とす美酒」があると教えてくれた
  • 女に逆らうことができず、言われるままにその酒を売りに出した
  • 山の中腹に泉があり、その泉の水すべてが酒だった
  • 酒は依存性が高く、呑み続ければ憎しみに取り込まれ、やがて鬼へと堕ちる

「ゆきのなごり」の正体は「鬼を生むための酒」だったのです。

やばくない…? 確か甚夜の実父の重蔵も毎晩呑んでいたのよね!?

それを思い出した甚夜は急いで重蔵の元に駆けつけるのですが…。

時すでに遅し。そこで目にしたのは、醜い鬼へと変貌した重蔵が、溺愛していたはずの奈津に襲い掛かろうとする光景でした。

鬼へと堕ちた実の父親。甚夜は葛藤しますが、それでも鬼を討つ覚悟を決めます。

重蔵が溺愛していた義理の娘を、重蔵自身に殺させたくない。
せめて苦しませることがないよう、一瞬で。

自分にそう言い聞かせながら、甚夜はとうとう実の父を手にかけてしまうのでした…。

そして酒を生みだした元凶である「金髪の美しい女性」が、あの「鈴音」だと確信するのです…!

秋津染吾郎とともに、山中にあるという泉へと向かった甚夜。

泉には非業の死を遂げ、無念を残して死んだ人間の骸が沈められていました。

甚夜が見つけた頭蓋骨のない骸ーーそれはなんと、甚夜がかつて愛したあの白雪の遺体だったのです。

白雪

「鈴音」は自ら殺した白雪の遺体を持ち去り、人を鬼に変える酒を造るために利用したのでした。

やることがエグい…!
鬼を統べる王「鬼神」になると予言された鈴音が、ついに動きだしたみたい…!

鈴音が持ち去った、まだ見つかっていない白雪の「首」。

それがいつかまた何かに利用される可能性があると、甚夜は危惧するのでした。

感想

奈津

第2巻では、実の親子として再び寄り添うことができた甚夜と重蔵。

それなのに、こんな悲惨な結末を迎えることになるとは思ってもいませんでした…。

重蔵が鬼へと堕とされてしまう、という設定もさることながら、それを討たなければならない状況に立たされた甚夜の気持ちを考えると本当に心が痛みます。

そしてこの事件をきっかけに、甚夜は奈津に「化け物!」と拒絶され憎まれてしまったんですよね。

二人がいつか仲直りできる日が来るといいんだけど…

そしてなんといっても、「鈴音」の存在が恐ろしすぎる!

1巻で殺害した白雪の遺体を泉に沈めて酒を造るなんて、白雪に対する憎悪が見てとれますよね。
「残雪」なんて趣のあるものではありません!

そしていずれ甚夜がそれを見つけると分かっていてやっていそうなところがまた怖い。

さすが「鬼神」と呼ぶに相応しい振るまいです^^;

まとめ

シリーズ第3巻、『鬼人幻燈抄 江戸編 残雪酔夢』についてまとめると…

  • 甚夜は辻遊女・夜鷹と出会い、怪異の情報を回してもらうようになる
  • 付喪神使い・秋津染吾郎とは鬼を討つ相棒となりそうな予感
  • いずれ甚夜に娘ができる? その伏線が描かれている
  • 実の父親・重蔵が鬼になってしまい、甚夜によって討たれる
  • 鈴音は人を鬼に変える酒を作るため、白雪の遺体を利用した

ということでした。

次巻はついに幕末編! 

時代が大きく動く中で、果たして甚夜はどのように生きていくのでしょうか?

まだ未読だよ~という方は、ぜひ一緒に見届けましょう!

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この記事を書いた人
ザクロ

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「どこよりも分かりやすい解説」を目指し、手描きのイラストや図を交え、「どういうこと?」とつっこみながら記事を作成しています。
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