この記事では『鬼人幻燈抄』平成編(計3巻)
- シリーズ12巻目:平成編『逢う日遥けし』
- シリーズ13巻目:平成編『終の巫女(ついのみこ)』
- シリーズ14巻目:平成編『泥中之蓮』(完結!)
のネタバレ要約・感想をまとめてお送りします。
「170年後」の一年前から始まる平成編。
舞台は巡り巡って、兵庫・葛野の地へ戻ります。
平成編では甚夜が高校生に!?
以下、ネタバレ有りの感想・要約となりますのでご注意ください。
高校に通う甚夜

遂にマガツメ(鈴音)と対決になる「170年後」。

予言で「鬼神が生まれる」とされているのが2010年でしたね
平成編は、その1年前(2009年)から描かれました。
なんと甚夜は戻川高校に高校生として入学!(戸籍は捏造)

年齢のサバ読みが凄い…
戻川高校は、昔『いつきひめの社』があった場所です。
(現在の『いつきひめの社』は、『甚太神社』と名を変えて場所も移動しています)
鈴音に対して憎しみは残るものの、答えを出せた甚夜。
高校生活を送りながら、鈴音との対決を待機という形になりました。
また、高校では友人も。
- いつきひめの子孫(千里の子孫):姫川みやか
- 明治にタイムスリップしたこともある:梓屋薫
- 10代目染五郎:桃恵萌
- 芳彦・希美子のひ孫:藤堂夏樹
- 同クラスのモテ男:富島柳
- 柳の友人:吉岡麻衣
甚夜は彼女たちに
- 自分が100年以上生きている鬼であること
- マガツメのことや、都市伝説の怪異を討伐している事
なども正直に話しています。
吉隠の【織女】で都市伝説が実体化

平成編では、『捏造された都市伝説』が多数登場します。
これは吉隠が異能『織女』によって作り出しているもの。
織女…悪い方向の願いを物理的なものにする力。
もとからある都市伝説…たとえば『口裂け女』『赤マント』『NNN臨時放送』(テレビで明日死ぬ人物が流れる都市伝説)などが、
複数かけ合わされて実体化しています。
この『都市伝説』の討伐が、甚夜や萌にとっての『仕事』です。
柳と麻衣

柳と麻衣。
甚夜たちがクラスメイトであるこの二人と仲良くなったのは、麻衣が虐められているところを見かけたことがキッカケでした。
中学のころと同じメンツに虐めを受ける麻衣。
そして引きこもりになった麻衣に後悔し、過敏になっていたのが柳でした。
ある日体育館裏で囲まれた麻衣。
それを見つけた柳は、ブチギレから怪異『ひきこさん』に変貌してしまいます。
顔が醜く変容し、手のさび付いた刃でいじめっ子たちを肉塊にしようとする柳。
麻衣のファインプレーで柳は人間に戻りますが、この件に甚夜たちもかかわったことで友人に。
柳が手からかみそりの刃を出したりできるようになったため、甚夜にトレーニングしてもらうという一幕もありました。
秋津染五郎10代目・萌

そして平成編では10代目秋津染五郎・桃恵萌も登場します。
『犬神』や『鍾馗様』も使える萌は、戦闘においても力強い味方です。

甚夜と交流があったのは、3代目と4代目でしたね
派手でギャルっぽいれど、育ちが良い萌。
なんと甚夜を追って同じ高校に入学してきたとか。
そんな萌は、甚夜に百年越しの伝言を伝えてきました。
「『どや。人って、しぶといやろ?』……と」
鬼人幻燈抄:13平成編 終の巫女
これは甚夜の親友であった三代目から、代々伝えられてきた遺言。
甚夜が「鬼と比べて人は老いる」と言っていたことへの反証でした。

長い月日を経てでないと、響かない言葉です…
萌は「アキ」として10代目を継ぎながらも、甚夜の親友になりたいと考えています。
兼臣と夜刀の物語

『兼臣』という葛野随一の鍛冶師についても語られます。

甚夜の「兼臣」や「鬼哭」など、妖刀四口の造り手ですね!
戦国時代、鬼女である『夜刀』に一目ぼれした兼臣。
やがて二人は愛し合うようになりますが、寿命が違う鬼と人間同士。
兼臣は夜刀の血を練り込んだ妖刀「夜刀守兼臣」を打つことで……
自分の死後、夜刀が生きる『道しるべ』とします。
しかしある日、鬼と疑われて危険視された夜刀に討伐隊が。
兼臣の鍛冶場が襲われ、夜刀と弟子の土浦が殺されました。
(※夜刀は実際には生きていました)
では兼臣と夜刀の間に生まれた娘「佳夜」はどうするのか?
彼女は「初代いつきひめ」……巫女として、鬼の血を隠すために社に封じられます。
そして「巫女守」という名の鬼切役が設けられ、暴走した場合に備えられました。

『村を守る』の悲しい真実…
時が立って平成。
甚夜はコンビニで遭遇した「長い黒髪と赤い瞳の女性」、彼女こそが夜刀でした。
「鬼と人は共に在れる。それを、彼(甚夜)が示してくれた」
「お前(兼臣)の願い通り、夜刀守兼臣は正しい場所に辿り着いた」
夜刀は甚夜の頬に触れ、静かに去っていきました。
おふうとの再会

そして遂に…!江戸編以来の再会も訪れます。
薫が季節外れの沈丁花を持っているのを見た甚夜。
『三浦花店』という店の名前を聞きピンときたようで、早退して会いに走りました。
もちろんこの正体は、甚夜の百年来の知人・おふう。
かつて交わした「また会おう」という約束を守り、花屋を営んでいました。
「ただいま、おふう」
鬼人幻燈抄:12 平成編 逢う日遥けし
「はい、お帰りなさい」
ここに江戸編以来の再会が叶いました。
岡田貴一との戦い

なんと平成編ではコンビニ『アイアイマート』の店長をしている岡田貴一。
「金は必要だから」と俗世にまみれた人斬りですが、今回甚夜との「最後の勝負」も描かれました。
マガツメ決戦前に、甚夜に奇襲をかけてきた貴一。
これは、
- 時代の流れで自分の剣が濁ったと感じ
- 「剣に生き、剣に至る」という道をもう一度自分に問う
ことが目的でした。

マガツメ戦の前なのは、甚夜を逃がさないためです
お互い一刀での勝負。
結果は甚夜は貴一の剣を相殺し、貴一は甚夜の薄皮一枚を斬るのみとなりました。
つまり「斬らぬ」を達成した甚夜と、「斬る」を達成できなかった貴一。
勝負は甚夜の勝利でした。
吉隠との最終対決
13巻では、大正時代から倒せなかった敵・吉隠との決着も描かれます。
引き際が上手く、倫理観ゼロで甚夜が後手に回ってしまう相手……
ある意味マガツメと並ぶ曲者でした。
吉隠の過去は?

吉隠の倫理がイカれていた理由は、吉隠の過去にありました。ザックリまとめます。
地方の農村に生まれる | はにわり(両性具有)として生まれ、竜神ミヅチに仕える巫覡として、雨乞いや治水の祈祷を行う。 |
追放 | 近代化により「いらない」とされて追放。 |
見世物小屋に売られる | 両性具有で美しいため、見世物小屋で性的搾取。 役割に流される。 |
追放 | 明治に規制が入り、非人道的な演目が減少。その影響で小屋から追放される。 ➡何をすればいいのか分からず涙を流す。 |

それでも自分の「楽しいこと」を探して動いていたのが吉隠でした。
甚夜の友人に精神攻撃

そんな吉隠は、平成編では「甚夜の絶望する顔がみたい」為に動いています。
標的にしたのは、甚夜の友人・姫川みやか。
吉隠はみやかの恩師である『白峰八千枝』を殺害し……
彼女の息子を呪具の材料とします。
呪具【コトリバコ】 | 子供を殺し、その死骸を箱に封じることで作る呪殺の道具。 |
死後の八千代 | 死んでも子供を求め、他者に赤子を託そうとする妖怪に変化。 呪いを広げる怪人となる。 |
八千代の死を目の当たりにしたみやかは混乱。
吉隠の思惑通り、「甚夜に関わったからでは…」と考えてしまいます。
しかし甚夜は、みやかにかけられた呪い【コトリバコ】を〈水仙〉の異能で代わりに引き受けました。
これを見て思い直したみやか。
自らも危険を承知で甚夜のために動き……
都市伝説『さとるくん』から、「吉隠を封じる為にいつきひめの力が必要」だと聞き出します。
吉隠がかんかんだらに

吉隠は〈織女〉の力で、自らも異形に変貌させました。
そのモチーフが『かんかんだら』。
- 「蛇」と「巫女」の怪異
- 上半身は6本の腕を持つ異形
- 下半身は蛇
- 怨念の塊である都市伝説の怪人たちを「喰う」ことで力を増す
これは元々ミヅチ(蛇)の巫女であった吉隠と、大変相性の良いモノでした。
みやかVS吉隠

甚夜との戦闘後、逃げようとした吉隠。
しかしそこに立ちはだかったのが、巫女装束を身にまとった『みやか』でした。
みやかは甚夜を責めた自分を悔い、友人のために命をかけます。
すると、なぜか〈織女〉によって作られた瘴気の鞭が、吉隠自身を拘束。
火の気もないのに炎が立ち上がり、吉隠の皮膚を焼きました。
これは〈織女〉の本来の持ち主はいつきひめであるため、〈織女〉が現代のいつきひめ・みやかに反応し、吉隠を止めようとした…と考えられます。
甚夜の〈同化〉で取り込まれた吉隠。
最後は茫然自失のような有り様でした。
マガツメとの最終決戦

そしてついにマガツメ(鈴音)との最終決戦です。
鈴音は170年間何をしてきたのか?
それは、『楽しかったあの日常を、今度は失敗しないようにやり直す』準備です。
- 葛野を自らの異能『まほろば』で巻き戻す
- 娘『鈴蘭』の異能で、懐かしの人物たちも作成
- 自分に『憎まない心』を付与して、失敗しないようにする
すべては兄にもう一度頭をなでてもらうためでした。
鈴音を『同化』で取り込もうとした甚夜はこれを知り、元々想いの大きさに差があったことを鈴音に謝ります。
一緒に心中を試みた甚夜。
しかしやっと頭を撫でられた鈴音は自死し、兄が同化で一緒に死ぬのを食い止めました。
マガツメを食らい鬼神となった甚夜は、晴れやかな気持ちで空を見上げ……
170年の物語が幕を閉じます。
鬼人幻燈抄|鈴音の正体から最後までネタバレ解説!マガツメに変化も
まとめ
以上、平成編のネタバレ要約感想でした。
- 1巻・葛野編
- 2巻・江戸編
- 3巻・江戸編
- 4巻・幕末編
- 5巻・明治編
- 6巻・明治編
- 7巻・明治編
- 8巻・大正編
- 9巻・大正編
- 10巻・大正編
- 11巻・昭和編
- 12巻・平成編
- 13巻・平成編
- 14巻・平成編(完結)

読み応えある物語に大満足した作品でした!
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