鬼人幻橙抄小説1巻【ネタバレ感想】葛野編・水泡の日々 ガチオススメ巨編!

鬼人幻橙抄小説1巻【ネタバレ感想】葛野編・水泡の日々 ガチオススメ巨編! 鬼人幻燈抄
この記事は約8分で読めます。

2019年6月発売のシリーズ第1巻、『鬼人幻燈抄きじんげんとうしょう 葛野編かどのへん 水泡みなわの日々』。

小説家になろうにて連載され、単行本や文庫本、コミカライズ本まで発売されている大人気シリーズ!

2024年6月27日からアニメ放送開始です!

舞台は江戸から平成にかけて…170年にも及ぶ「鬼と人」との闘いが描かれた和風ファンタジー巨編。この1巻ではそのすべての始まり、物語の根幹になる衝撃的なストーリーが描かれています!

全14巻、(私は)読み切るまでに5回以上泣いた愛と戦闘と怪異の物語。

以下、ネタバレ有りの感想・解説となりますのでご注意ください。

登場人物

メイン登場人物のイラスト
白雪➡白夜
甚太
鈴音

主要な登場人物をまとめています。

甚太(じんた)
18歳。「いつきひめ」を守る「巫女守みこもり」。
口数が少なく実直な性格。
妹の鈴音と、「いつきひめ」の白雪を何より大事に想っている。

鈴音(すずね)
甚太の妹。17歳。
右目に包帯を巻き、見た目は7歳ほどで止まっている。
父親から虐待されていたが天真爛漫な性格で、兄が大好き。

白雪(しらゆき)
当代の「いつきひめ」。巫女名は白夜(びゃくや)。
葛野にやってきた甚太と鈴音とは家族のように過ごしてきた。

元治(もとはる)
白雪の父親。
甚太にとっては恩人であり、「巫女守」の師匠でもある。

夜風(よかぜ)
元治の妻で白雪の母親。先代の「いつきひめ」。

長(おさ)
村の長。葛野の安寧と繁栄を何よりも望んでいる。

清正(きよまさ)
長の息子で、甚太と同じく「巫女守」を務める。
甚太をライバル視していて皮肉屋だが、実は優しい面もある。

同化の鬼
「いらずの森」に現れた巨躯の鬼。
他の生物を内に取り込み、その力を喰う〈同化どうか〉という能力を持つ。

遠見の鬼女
着物姿で三又の槍を持つ鬼女きじょ。同化の鬼の仲間。
未来を視とおす〈遠見〉という能力を持つ。

語句解説

いつきひめ
斎の火女
火の神いに奉仕する未婚の女性

鬼人幻燈抄の世界観で重要な語句を解説します。

2巻以降も重要になってくるワードが多いので要チェック!

葛野(かどの)※地名
江戸から130里離れた山間の集落。鉄を造る踏鞴場(たたらば)。
江戸から逃げてきた甚太と鈴音が身を寄せる。
いつきひめ
葛野で信仰されている火を司る土着神「マヒルさま」に祈りを捧げる巫女。
神聖さを保つため、直接会えるのは村の長と「巫女守」のみ。
巫女守(みこもり)
「いつきひめ」の護衛と、怪異を討つ「鬼切役」を務める。
夜来(やらい)
「いつきひめ」によって戦国の世から代々受け継がれてきた御神刀。
いらずの森
葛野の周囲に広がる森林。

葛野編のあらすじをネタバレ要約!

ここでは『鬼人幻燈抄 葛野編 水泡の日々』の全貌を分かりやすく要約します。
ネタバレが含まれますのでご注意ください。

兄妹と白雪、運命の出会い!

物語の始まりは甚太5歳、鈴音4歳のとき。

父親から虐待されていた妹・鈴音を守るため、甚太は鈴音と二人で江戸を離れます。

幼い二人が路頭に迷っていたとき、「一緒にこないか」と声を掛けてきた一人の男。
それが元治もとはると言う名の「巫女守みこもり」でした。

二人が連れられてやって来たのは「葛野」という山間の集落。
そこで元治もとはるの娘である可愛らしい少女、白雪と出会います。

歓迎してくれた白雪に、甚太はきっと一目惚れしたのね!

そしてこの葛野で、甚太と鈴音と白雪は、本当の家族のように暮らしていくことになったのです。

すべての始まりはここから。それがあんな結末に向かっていくなんて…。



時は流れ13年後

いつきひめの夜風と巫女守の元治が亡くなったため、白夜と甚太が次代を務めた。
夜風と元治は夫婦であり、白夜の母と父。甚太にとっても義母・義父にあたる。

18歳になった甚太は、「いつきひめ」となった白雪を守るため、「巫女守」を務めていました。

先代の「いつきひめ」は白雪の母の夜風でしたが、数年前鬼に食われて死亡。
そして夜風の「巫女守」だった元治も、鬼との戦いで殉職してしまったのです。

両親を亡くした悲しみを乗り越えて、白雪は「いつきひめ」になったのよね。

怪異の脅威から白雪を守るため、甚太は身命を賭して任務にあたります。

甚太と白雪の悲恋

密かに想い合っている甚太と白雪。

けれどある日、白雪と村の長の息子、清正の婚約が決まってしまいます。

鬼に食われて死んでしまった母親のように、白雪にもいつ悲劇が訪れるか分からない。
その前に後継者を産んでほしいと望む村の長の計らいからでした。

お互いに恋心を伝え合いながらも、甚太と白雪はその婚約話を受け入れます。

二人で駆け落ちすることもできたのに…切ないよ~。

白雪は葛野の未来のために。甚太は白雪の決意と覚悟を守るために。
恋心よりも、自らの生き方を選び取った二人の決断でした。



2匹の鬼の登場

そんなとき、「いらずの森」に2匹の鬼が現れます。

それぞれに同化どうか〈遠見〉という特殊能力を持つ高位の鬼でした。

狙いは「いつきひめ」の命か、あるいは宝刀「夜来」か。
鬼の真意を掴めぬまま、甚太は「巫女守」として鬼の討伐に向かいます。

狙いは鈴音? 鬼が視た170年後の未来

無邪気な鈴音

けれど、鬼たちの本当の目的はそのどちらでもなかったのです。
「遠見」の能力を持つ鬼女が視たという二つの光景。

  • 百年以上未来において、この葛野の地に鬼を統べる王「鬼神」が降臨する
  • その鬼神と呼ばれる者が、現在、この地に住んでいる

それが甚太の妹、鈴音だと鬼たちは言うのです。

常に右目に包帯を巻き、17歳でありながら見た目は7歳ほどで止まっている鈴音。

驚くことにその包帯の下の瞳は赤く、それは鬼の証でもありました。
葛野に現れた2匹の鬼は、いつか来る鬼の未来のために、鈴音を仲間として迎えに来たのです。

幼い頃から鈴音の赤眼に気づいていた甚太も、まさか鬼が妹をさらいに来るなんて思ってもみなかったはず。

それぞれの想いが招いた悲惨な結末

妹の危機を知り、急いで鈴音の元に駆けつけた甚太。
けれどそのとき甚太が目にしたのは、鈴音によって首を切断され殺された白雪の姿だったのです。

ええ!? ちょっと待って、どうしてそんなことに!?

鬼女の策略によって、白雪と清正の関係を知ってしまった鈴音。
兄の白雪に対する恋心を知っていた鈴音は、白雪の不義に対して怒りを露わにします。

実は鈴音も密かに甚太に対して恋心を持っていました。

7歳のままで成長を止めていたのは、大人になり兄以外の男に嫁がされたくなかったから。幼子のまま一生傍にいたかったから。

覚醒した鈴音は金髪の美しい鬼女へと変貌し、甚太の目の前で白雪を無残にも殺してしまったのでした。

なんて悲惨な結末…甚太にとっては地獄の光景だったはず。



鬼人となった甚太…その後

刀・夜来。
管理者は【夜】の名を賜る。
白雪➡白夜
甚太➡甚夜

家族として大切にしてきた妹が、よりにもよって自分の想い人を殺してしまった…。

そのうえ鈴音はいつもと変わらぬ天真爛漫な様子で、少しも罪悪感を感じていません。

ショックを受けた甚太は、白雪の亡骸を抱きしめながら、鈴音に対して憎悪の念を抱きます。

その恨みが体に現れたように、甚太の左腕は〈剛力〉という鬼の腕へと変形してしまいました。
実は甚太が倒した巨躯の鬼が持っていた能力が、自身の一部を甚太の体へと〈同化〉させていたのです。

鈴音への恨みが引き金になって、甚太が鬼へと堕ちてしまうなんて…!

死闘を繰り広げた甚太と鈴音。けれど〈遠見〉の鬼女の横槍によって決着はつかぬまま。

「私は、貴方(すべて)を憎む。だから全てを壊す」

人間や現世と決別し、いずれ全てを滅ぼすと告げて、鈴音は一人姿を消してしまいます。

そして「鬼人」となった甚太は「甚夜」と名前を変え、鈴音を追って長い長い放浪の旅へと出たのでした。

感想

水泡

誰も悪くないのに、それぞれの譲れない願いや想いのせいで、ここまで悲しいストーリーになるとは…!という衝撃展開となっていました。

重~い話だけど、みんなの気持ちもよく理解できるから、それが余計に切ないんだよね!

副題の『水泡の日々』もぱちんと消えた日々という意味で残酷すぎました。

まだまだ長い物語の序章という感じで、気になる点もありました。
兄妹を拾ってくれた元治が死ぬ直前に残した言葉、

「――甚太。お前は、憎しみを大切にできる男になれ」

とはどういう意味なのか? 鈴音を憎むあまり、鬼人となってしまった甚太を予言していたような言葉ですよね。

そして、〈遠見〉の鬼が予言した170年後の未来では、兄妹が再び殺し合い、その果てに「永久に闇を統べる王が生まれる」とのこと。
果たしてそれは本当に鈴音のことなのか、あるいは甚太の可能性もあるかもしれません。

また、読み進めていく上でうなることになるのがこの巻の重要さ。

義理の両親も想い人も殺され葛野の集落を出た甚太。
一見、鈴音以外のことがリセットされたように見えますが、今後どんどん深堀られます。

例えば

  • あっさり亡くなった元治と白夜の真実
  • 『いつきひめ』の真実
  • 白雪の遺体について

など。

そういった意味では、次の江戸編に登場する人物もそうくるか!という感じでした。

一人一人のキャラクターが捨て置かれないことも魅力な鬼人幻燈抄。
甚夜の旅の行方を、最後まで見守っていきましょう。



まとめ

シリーズ第1巻、『鬼人幻燈抄 葛野編 水泡みなわの日々』についてまとめると…

  • 甚太と鈴音の兄妹は、元治に拾われて葛野へ辿り着き、白雪に出会う
  • 13年後、甚太と白雪の恋心は、お互いの立場や決意によって成就しない
  • 突然現れた2匹の鬼の話によると、170年後に鬼を統べる王「鬼神」が降臨するとされ、それは鈴音のことらしい
  • 甚太に恋心を抱いていた鈴音によって、白雪は殺されてしまう
  • 兄妹はお互いに憎しみ合い、決別する

ということでした。

江戸時代の話だけど、文体はとても読みやすいので、長編でも手が出しやすいはず!

『鬼滅の刃』のような和風ファンタジーが好きな方にはかなりおすすめです!
まだまだ謎や伏線が多そうですし、早く続きが知りたい!という方は是非読んでみてください!

また、鬼人幻燈抄は漫画版(コミカライズ)も発売されています。
小説1巻の内容は、漫画版1巻~3巻。

私は漫画版も読みましたが構成が素晴らしい!漫画としての役割である「分かりやすく」「より続きが気になるように」が再現されており、是非小説と合わせて両方読んでいただきたいです。

\シェアしてくれるとめっちゃ喜びます/
この記事を書いた人
ザクロ

読書大好き、考察大好きのザクロと申します!
「どこよりも分かりやすい解説」を目指し、手描きのイラストや図を交え、「どういうこと?」とつっこみながら記事を作成しています。
シリーズものは新刊発売後、随時新情報に更新していきます。Xにて通知しますので是非フォローしてお待ちください!
記事のシェア・相互リンク歓迎です。

Xにて記事をアップ・追記した時にお知らせしています。気になる記事がございましたら、是非下記のボタンからフォローしてください(*ᴗˬᴗ)⁾⁾
鬼人幻燈抄
スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました