『鬼人幻燈抄』のキャラクター・鈴音。
「世界は兄が全て」という考えで悲劇を起こす、物語の核的存在です。
しかしそんな悲劇が起こったのは、鈴音がただの可愛い妹ではないから。
この記事では
- 鈴音は何者なのか?どれだけ強いのか?
- 彼女は何を目的として、170年どう動くのか?
- 最後どうなるのか?(生死は?)
ということを、ネタバレありで徹底解説していきます。
鈴音の正体は『鬼』

鈴音の正体は『鬼』です。
【鬼とは】
目が赤く、千年を超える寿命があり、並大抵の傷ならすぐに完治する。個体差はあるがとても強い。
そして突然変異などではなく、鈴音(と甚夜の)母親が、鬼に犯されてできた子供です。
甚夜たちの父親が「鈴音だけを」虐待していたのは、
自分の妻を犯し、出産時に死なせた憎い鬼の子供を許せないからでした。

全うな「怒り」があったんですね…
さらに鈴音は鬼の中でも最強でした。
理由は特に描かれていませんが、甚夜が170年鍛錬しても追いつけない身体能力を、最初から所持していました。
『兄の手だけが全て』

鈴音は元から(何も起こっていないときから)「兄である甚夜だけが全て」だと考えていました。
鈴音が父から虐待されていたときも、
白雪と鈴音が同時に手を差し出した時も、
一方しか選べないのに、甚夜は鈴音の手を選んでくれました。
そんな兄に、鈴音は極端な愛情を募らせていきます。
では鈴音が白雪と仲良くしていたのはなんだったのか?
これも「甚夜が大切にしているから」。ただそれだけの理由でした。
実の兄でありながら、甚夜に恋愛感情を抱いていた鈴音。
だからこそ、鈴音個人としては白雪を好意的に見ていませんでした。

後に「雪」と「白い花」が嫌いだとも明かされます
鈴音の狂気から仲たがい

それでも両想いの二人を見て身を引こうとしていた鈴音。
しかし白雪が他の人(清正)と体の関係を持とうとしたと知り、激怒します。
白雪にも事情がありましたが、それを知ったところで「そんなことを兄より優先するなんて」という意見。
あっさりと殺害してしまいました。
これは「白雪が死ぬ=白雪が他の男とくっつかなくなる=兄が幸せ」という考え方からでした。
ところが全うな感性をもった甚夜が、これを看過できるわけもなく……
彼は170年かけて鈴音への恨みに向き合うことになります。
一方、愛する兄から憎まれ、捨てられた鈴音は自暴自棄に。
「甚夜が鈴音を拒絶するなら、現世に何の意味もない」という思考で、世界を巻き込んで兄妹喧嘩(死闘)が始まりました。
「全てを壊す」とは?鈴音の目的

『私は、貴方を憎む。だから全てを壊す』
鬼人幻燈抄 葛野編 水泡の日々より
『人も、国も、この現世に存在する全てを私は滅ぼす。そうしないと私はどこにも行けない』
鈴音は愛情が反転して甚夜に恨みを抱きます。
しかし、それでも鈴音が壊すのは「他の全て」であり、甚夜本人ではありませんでした。
鈴音の最終目的、170年かけてやろうとしたことは
- 更地にして新しい葛野を作り上げ、
- 「憎まない心」を生み出して自分に付与し、もう一度いちからやり直す
ことです。
鈴音は他の人間の命などはガン無視して、世界を巻き戻し……
「兄を傷つけない選択をして、幸せにして、鈴音も頭をなでて貰える幸せな日々をもう一度」と願いました。
これに必要だったのが、
- 不要な感情の排除(鈴音の娘たちの誕生)
- マガツメ化
です。
鈴音の娘たち

鈴音は目的を達成するために、甚夜を慕う心を切り捨てました。
それが形になったのが『マガツメの娘』。
全員に花の名前が付けられ、その花言葉に紐づけられた異能を持っています。
彼女たちは時に甚夜の敵として立ちはだかったり、時には味方になることもあります。
【マガツメの娘たち】
名前・鈴音の想い | 花言葉・異能 |
---|---|
向日葵(長女) ずっとあなたをみていたい | 「あなただけを見つめる」 設定した対象への遠隔視(千里眼) |
地縛 鎖につないででも離れたくない | 「束縛」 鎖による行動・能力の制限 |
東菊 嫌な過去を忘れて欲しい・忘れたい | 「しばしのなぐさめ」 記憶を消す |
古椿 あなたを好きにしたい | 「私はあなたを常に愛します」 人を乗っ取って操る |
七緒(水仙) もう一度愛してほしい | 「もう一度愛して」 対象への干渉を、使用者に移し替える |
鈴蘭 大切な人を幸せにする | 「再び幸せが訪れる」 鈴音が視認した対象のドッペルゲンガーを作る。 |
マガツメ化

鈴音は途中から「マガツメ」と名乗り始めます。
マガツメは漢字で書くと『禍津女』。
甚夜への愛情を捨て、自らには憎しみだけを残した鈴音ですが、その過程で鬼でも人間でもない化け物に近づいたのです。
憎しみは蟲に代わり、複眼(トンボやカマキリみたいな目)に。
おぞましい体になったマガツメは、壊れて、厄災化していきます。
しかしこうなることが分かっていても、目的の為に動き続けたマガツメ。
時々甚夜に接触を取ってくるものの、基本的には孤独に、170年間「心を造る実験」等の下準備を続けていたと思われます。
そんなマガツメの異能は『まほろば』。
「あの頃に帰りたい」という想いが形になったもので、指定した人・景色、全てを元に戻せます。

若返りもできる…!!
鈴音の最後は?生死はどうなる?

そして始まりの地・葛野での最終決戦。
憎しみは消えなかったものの、170年かけて、鈴音の想いを真っ向から受け止めた甚夜。
甚夜の考えた唯一の勝ち筋は、生きたままの鈴音を『同化』の異能で取り込むというものでした。
しかしこれは心中。
基本的に『同化』は死亡した鬼を取り込むものなので、二つの意識が混在すると甚夜がキャパオーバーします。
それでも実行し、甚夜に流れる鈴音の意識。
甚夜はここで初めて、
鈴音の想いの強さが、甚夜とは雲泥の差であったことを知ります。
「時々でいいから手を繋いで、頭をなでてくれるだけで幸せ」
「すべてを滅ぼせるくらいに兄を愛している」
甚夜は鈴音の憎悪の底にあった自分への愛情に向き合い……
鈴音に同じ強さを返せなかったことを謝りました。
『う、ん。わたしは、にいちゃんがだい、すきで』
鬼人幻燈抄:14平成編 泥中之蓮
「ああ、俺もだよ。鈴音のこと、大好きだった」
このまま「同化」を受け入れ、2人そろって崩壊しようとした甚夜。
しかし兄から頭をなでてもらった鈴音は、自分の頭に爪を突きたてて自死しました。
大好きな兄の手に抱かれ、幸せなまま消えていった鈴音。
全てが終わった後、甚夜は鈴音の長女『向日葵』に、鈴音の想いを告げられます。
「あいしています、いつまでも」
鬼人幻燈抄:14平成編 泥中之蓮
これは鈴音が真っ先に切り離し、最後まで汚さずに守り抜いていた心でした。
まとめ
以上、鈴音の正体から最後まででした。
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