和風ファンタジー『鬼人幻燈抄』。
原作は小説で、本編14巻+番外編1巻が発売され、完結しています。
この記事では、鬼人幻燈抄は最後どうなるのか?
1巻の展開・伏線・ミスリードが、最終回までにどう回収されるのかをネタバレ解説していきます。

結末のネタバレ注意です
甚夜のその後

鈴音に最愛・白雪を殺されて村を出た甚夜。
彼は「鬼人が生まれる」と予言された170年後に向けて迷いながらも、
- 自らを鍛え(『同化』で他の鬼の能力を食らう)
- 様々な仕事を受け(護衛・蕎麦屋・庭師)
- 時に友人や家族を作って(人・鬼問わず)
進み続けます。
時には鈴音など敵の干渉により失うこともありましたが、その後はきちんと守りきれた体験も。
当初の『甚太』の性格から、根本的な所は変わらない優しさをもって生きた甚夜。
最後には、鈴音(マガツメ)を「同化」で取り込み…
「あやかしを守り慈しむ鬼神」となりました。
遠見の鬼によって予言されていた「170年後に鬼神が生まれる」というのは、甚夜のことでした。
父親と仲直り

そもそも物語の始まりは、『鈴音を虐待する父親から逃げてきた』ところからでした。
しかし葛野を出た後、甚夜は江戸の実家(裕福な商家)に顔を見せます。
これは父の鈴音虐待が
- 妻を鬼に犯され
- その鬼の子供である鈴音出産で妻が亡くなった
ことに起因すると知ったからでした。
自分も「愛する者を奪われた憎しみ」を知り、父を恨めなくなった甚夜。
一方父親の方も元々甚太は可愛がっており、名乗らずとも自分の息子だと気づいて仕事を与えていました。
最後にその父は、鈴音の悪影響が巡って死んでしまいますが……
酒を飲みかわし、不器用ながらも良好な関係になることもあった二人でした。
娘を育てる

甚夜は170年の中で、娘を育てることもありました。
甚夜の子ではなく捨て子。
江戸時代に自分が食らった鬼『夕凪』に託され、甚夜は育てることを決意しました。
甚夜は赤子に夕凪に咲く花である『野茉莉』という名をつけ、蕎麦屋を開き、普通の親子のようにふるまいます。
しかし野茉莉が20歳を超えたころ、野茉莉は鈴音の干渉により、甚夜の記憶だけを失ってしまいます。
なすすべもなく娘の元から去るしかなくなった甚夜。
一件バッドエンドですが、野茉莉はその後周囲に恵まれ、結婚して幸せに暮らしたようです。
鈴音のその後

鈴音のその後に関しては、こちら↓を参照してください。
鬼人幻燈抄|鈴音の正体から最後までネタバレ解説!マガツメに変化も
- 鈴音の正体は?
- その後何をするためにどう動くの?
- 最後生死はどうなるの?
について解説しています。
白雪のその後

1巻で鈴音に首を引きちぎられ、殺されてしまった白雪。
当然もう出てこない…と思いきや、登場します。
鈴音が持ち運んだ白雪の身体や未練が形をとって、甚夜と会話できることもあります。
白雪は別れを告げられなかったことを、甚夜を苦しませる原因として重く見ていました。
「幸せだった」と言って、甚夜に笑顔を見せた白雪。
「最後は間違えたけど、会えてよかった」「さようなら」「大好きだった」
それを告げることができた明治編。
ここで初めて甚夜は白雪の死を受け入れ、固執し続けるのを止めることができました。
ちとせと清正、長のその後

そして葛野の「もう出てこないだろう」と思われたメンツ、
- 茶屋の娘・ちとせ
- 白雪と結婚する予定だったもう一人の巫女守:清正
- 別れ際匂わせぶりなことを言った:長
この三名のその後も中々エモいものなので紹介します。
ちとせ

まずはちとせ。
彼女は白雪が殺された後『いつきひめ』を継ぎ、
甚夜とは明治時代に荒城稲荷神社という場所で、32年ぶりに再会しました。
(いつきひめを娘に継承して、夫の元(村の外)で生活していました)

その時の名前は「ちよ」。
いつきひめを継ぐと「夜」が入る名前に代わるので、
千歳➡千夜になったということですね。
変わらず甚夜のことを『甚太にい』と呼ぶ彼女は、
「また磯部餅でも食わせてくれ」という言葉を実行。
時代をまたいで、約束を叶えてくれました。
清正

そして甚夜が葛野を出る際、友人になって別れた清正。
「自分でも本を書いている」と明らかにされていましたが、
後にたびたび出てくる怪異譚を集めた書物「大和流魂記」の著者がなんと清正でした!
その中でも『姫と青鬼』という物語は、自分の体験を元にして白雪と甚夜を主役にしたもの。
さらにあとがきでは、甚夜に対する言葉がこれでもか!というほど綴られています。
その中には
- 甚夜の憎しみの始まりを作ったのは愚かな自分(清正)であること
- だから不幸な結末を迎えても、君が悔やむことはない
- 幸せなら、この言葉は笑い話・馬鹿話にしてくれ
というものも……
清正の優しさは、書物として甚夜に届いています。
長

甚太が葛野を去る際、「いつか再び訪れた時、涙の一つも零させてやろう」と言っていた村の長。
彼がしたこととは、
- 『いつきひめの社』を『甚太神社』という名に変更し
- いつきひめの子孫に『姫川』という苗字を受け継がせました。
姫川とは歴史の古い河川。
その源である姫川源流一帯は、古くから絶景としても名高い場所でした。
そしてその絶景をつくりだすのは雪解け水。
消えた雪は戻らないが、その想いはやがて美しい景色を造り出す……
「甚夜が再び葛野の戻ることがあれば、涙の一つも流させてやろう」と言っていた長。
それは平成の世で実現されました。
夜が選んだ手は白雪か鈴音か?

二人して手を差し出す。俺を救ってくれた二つの笑顔。伸ばされた二つの手。
鬼人幻燈抄 葛野編より
俺は木刀を持っているから片方の手しか取れなかった。
だから自然と彼女の手を取る。
甚太はここで白雪と鈴音、どちらの手をとったのか?
甚太が掴んだのは、鈴音の手です。
虐待する父親から逃げてきたときも、白雪と同時に手を差し出した時も『鈴音の手』を取ってくれた兄。
こんな些細なことから、鈴音は『世界は兄の手が全て』と考えるようになります。
もし白雪の手を選んでいれば……
いい方にか悪い方にかはわかりませんが、もっと違う展開になっていたことでしょう。
「いつきひめ」と「巫女守」の真実

いつきひめと、鬼切役を兼任する巫女守。
この二つの役割の真実についても後々明らかになっていきます。
里に知られている知識としては
- 『いつきひめ』とは『斎の火女』。
(産鉄業で大事な)火の神に祈りをささげる女 - 『巫女守』はいつきひめを守るために鬼をも斬る役目
ということでした。
しかしこれはなんと、外向きの建前だったのです。
『いつきひめ』の真実とは『居付きの緋目』。
つまり白雪やその母・夜風は鬼の血を引いていました。
そしてもし彼女たちが暴走した場合……
それを切り捨てるのが『巫女守』の役目。
『鬼切役』と兼任とは、そういうことであり、
甚夜の義父・元治と義母・夜風はこの最悪の末路を辿りました。
「憎しみを大切にできる男になれ」とは

元治が甚夜に向けた遺言
「憎しみを大切にできる男になれ」
鬼人幻燈抄 葛野編より
この意味についても、甚夜は最後に自分なりの解釈を立てています。
それは、憎しみの裏返しである愛情に気づき、大切にすること。
夜風は葛野を愛していましたが、後にそれは絶望に代わりました。
(夜風が無口なので、どう心境の変化があったのかは語られませんでした)
「愛情が深い故に絶望が深くなった」
元治はそれに気づき、夜風が以前愛していた葛野を壊させないために戦い、夜風を討伐。
つまり元治は自分の最後の決断に悔いはなく、甚夜にも憎しみを抱いた女に会えば向き合うように言ったのです。
甚夜はそれを正念場で鈴音に当てはめ……
鈴音から自分への愛情が、自分から鈴音への愛情と段違いの深いもので会ったことに気づき、謝りました。
まとめ
以上、鬼人幻燈抄の完結ネタバレでした!
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