この記事では『鬼人幻燈抄』明治編(計3巻)
- シリーズ5巻目:明治編『徒花(あだばな)』
- シリーズ6巻目:明治編『夏宵蜃気楼(なつよいしんきろう)』
- シリーズ7巻目:明治編『君を想う』
のネタバレ要約・感想をまとめてお送りします。
前巻、江戸で鬼とバレてしまった甚夜が、娘として育てると決めた拾い子『野茉莉』とともに旅立ったところで終わりました。
明治編の舞台は京都!
新しい出会いは勿論、多くの『再会』『別れ』も描かれます。
以下、ネタバレ有りの感想・要約となりますのでご注意ください。
鈴音(マガツメ)との再会と勝負

現在マガツメ(禍津女)と名乗っている鈴音。
なぜか娘(向日葵・地縛・東菊)もおり、彼女たちを使いながらの甚夜との対決が描かれました。

子供!?
子供と聞くとビックリしますが、これは鈴音が切り離した「心の一部」。
言ってみれば分身的な存在だそうです。
(お兄ちゃん一筋な鈴音に、夫がいるわけもありませんでした)
決戦は170年後……つまり今ではないということを意識している鈴音。
なのに中途半端な時期(43年ぶり)に出てきた理由は「割に合わないから」です。
鈴音にとっては「甚夜が全て」。なのに甚夜にはたくさんのものがある……
「あれから多くを積み重ねてきた。そのたびに余分を背負っては濁り、今では余分さえも尊く思えるようになったよ。そのせいで薄れていく想いもあると知ってしまったが、もう私は甚太ではいられない」
鬼人幻燈抄:7 明治編 君を想う
しかし鈴音は、甚夜に同等になってもらうため、甚夜から全てを奪おうとします。

これがどうなるのかが、明治編の肝です
一方甚夜からも、憎しみは消えていませんが……
直接対決の結果は甚夜の惨敗。戦いにもならない程、鈴音は強い存在でした。
甚夜は行き倒れていた状態をきぬ(夜鷹)に拾われて傷を癒し、まだまだ先の再戦に備えます。
鈴音の目的は?

鈴音は現在何をしているのか?
彼女の目的は「心を造ること」です。
作り変えたい心とは、「兄を憎んでしまった自分の心」。
憎んだりしない、無垢な妹としての心を造りたい。
その過程で「ゆきのなごり」という酒やら、百鬼夜行、異能を生み出す術などが生み出され……
さらに鈴音自身の体…腕も気色悪く変化しています。
(芋虫の胴から脚が生えたような腕に変化)
このあたりは少しややこしいですが、「捨てきれなかった想い」が作用して、人でも鬼でもない存在に変質してしまった……
つまりマガツメは、実験失敗故に生み出された悲しきモンスター的存在なのです。
マガツメの娘・向日葵に慕われる

ある日、鬼に囲まれた童女を助けた甚夜。
しかし彼女こそ、鬼たちに支持を出していた中心でした。
- 栗色の髪の整った顔立ち
- 8歳
- 甚夜を「おじさま」呼びで慕う
- 能力は『設定した対象へ遠隔視』。つまり千里眼。
彼女…向日葵こそ、マガツメ(鈴音)の長女です。
向日葵は心から甚夜を慕っています。
しかし母である鈴音の望みも叶えたいと思っている……
敵にも味方にもなり得る、今後(明治編以降)も注目のキャラクターとなっています。
マガツメの娘・東菊

鈴音の三人目の娘は『東菊』。
特殊能力は『記憶の消去、および改変』です。
東菊は、なんと白雪の姿をしていました。
鈴音が持って行った白雪の生首が使われた模様です……。
東菊は
- 甚夜に会いたい白雪の未練
- 鈴音の「甚夜の選択を見たい」という感情
が形になった鬼でした。
白雪の未練とは、別れ際のことです。
不意打に、別れさえ告げられないまま白雪が死に、長く苦しんだ甚夜。
だからこそ、きっちり「さようなら」と告げる機会がほしい。
この未練は果たされました。

白雪とようやく一区切りです
そして鈴音が見たかった「甚夜の選択」とは、「白雪を選ぶのか、野茉莉を選ぶのか」です。
これは言ってみれば過去を選ぶか、今を選ぶか。
白雪の姿をした東菊を殺して『同化』すれば、野茉莉の記憶改変が止まる可能性があります。
しかし白雪の姿をした鬼を殺せないようなら……それは、今の家族より昔のことに重きを置いているとこうことです。
娘・野茉莉の記憶を消される

明治編で20歳まで成長した拾い子・野茉莉。
甚夜の見た目が17歳で止まっている為、見た目上の年齢を追い越した形でした。
(ちなみに甚夜老けない問題は、必要時のみ能力『空言』で頑張って対応しています)
甚夜が女性と仲良くすると「母親になるの?」とちょっと嫌そうな節を見せるなど、ちょっと難しいお年頃もありましたが……
父親が大好きな娘です。
しかし野茉莉は鈴音のターゲットになり、東菊の能力によって、甚夜の記憶が野茉莉から徐々に抜けていきます……
甚夜は東菊の能力を食らいましたが、一度されたことの上書きは不可能でした。
泣きながらも父親の存在を忘れていき、辻褄が合わされた世界で生きていくことになった野茉莉。
「そしてどうか、いつまでも幸せでありますように」
鬼人幻燈抄:7明治編 君を想う
甚夜は唯一記憶が残った平吉に野茉莉を託して、京都を去ります。
ここで父娘はお別れ。
平吉は、「リボンだけは手放さないように」と野茉莉に告げました。
野茉莉はもう覚えていませんが、それは野茉莉が甚夜に買ってもらった思い出の、桜色のリボンです。
マガツメの娘・地縛戦と兼臣

染五郎の紹介でやってきた17・18歳ごろの女…それが兼臣(かねおみ)でした。
その正体は、亡くした主人の形をとっている妖刀「夜刀守兼臣(やとのもりかねおみ)」です。

擬人化!?
兼臣は主人・南雲和紗を倒した鬼・地縛を倒す助力を得るために、甚夜の元へ訪れました。
地縛は鎖を使う、無貌の鬼。四肢だけの鬼。
それが和紗を殺したあと、地縛は和紗の形に……これは中々エグい仕様です。
しかし見事、甚夜の協力で倒すことができました。
妖刀・兼臣の能力は『御影』。動かない体でも傀儡として無理やり動かせる能力……
一度鎖に貫かれて死んだように見えた兼臣(和紗の姿)でしたが、本体は刀なので問題ないというビックリ仕様でした。
そしてこの妖刀(戦い後はずっと妖刀の姿)、
戦いの中で甚夜が言った「蕎麦くらいいくらでも作ってやる」という言葉をプロポーズと取り、妻面を始めます。
茶番のようなものでしたが、結果的には冗談ではすみませんでした。
明治編で様々なものを失った甚夜。
しかし兼臣……刀である彼女だけが、その先もついていける唯一の存在です。
直次と悲劇の再会

京都で続いていた辻斬り事件。
なんとその犯人が、鬼になった三浦直次でした。

あの直次!?
鳥羽・伏見の戦いに旧幕府軍として参加し、死にかけていた直次。
そこに「鬼にならないか」と声をかけたのが向日葵でした。
甚夜を知っていたため鬼に忌避感がなく、提案を受け入れますが……
武士を否定し、廃刀令を喜ぶ新時代を見て絶望。
生き残ったことを後悔するようになりました。
そんな折、向日葵から「死体集め」の協力を求められ……
これは「刀にしかできないこと」の証明になると、話を受けます。

時代についていけない故の、事実上の闇落ちでしょうか……
死に場所を再度求めていたとも言える直次。
戦いを挑まれた甚夜は直次を下し、彼の能力「血刀」を手に入れます。
これは血液を刀に変える能力。廃刀令が下ったこの先で、甚夜の役に立つ能力です。
……こんな直次を妻の夜鷹はどう思っていたのか?
夜鷹は夫の思いを察しながら止めはせず、直次が望む終わりに辿り着けるよう祈っていました。
京都の親友・秋津染五郎

京都といえば、付喪神使い・秋津染五郎3代目。
しかし明治編最終巻、マガツメとの戦いで命を落としてしまいました。
当然ながら江戸編から年を取って50歳手前。平吉という4代目候補の弟子もいた染五郎。
染五郎は甚夜が京都で蕎麦屋を始めた際も手続きを手伝ってくれ、やがて常連になり……
人と鬼ながら親友の関係を続けていました。
マガツメ戦で命を落とす覚悟を決めていた染五郎。
きっちりと弟子・平吉に遺言を遺し……
死にかけた自分を看取ろうとする甚夜に、「野茉莉の所へ行け」と発破をかける、見事な死にざまでした。
白雪と別れ、野茉莉と別れ、染五郎や直次と死に別れ……
非情にも失うものが多い明治編でした。
まとめ
以上、明治編のネタバレ要約感想でした。
- 1巻・葛野編
- 2巻・江戸編
- 3巻・江戸編
- 4巻・幕末編
- 5巻・明治編
- 6巻・明治編
- 7巻・明治編
- 8巻・大正編
- 9巻・大正編
- 10巻・大正編
- 11巻・昭和編
- 12巻・平成編
- 13巻・平成編
- 14巻・平成編(完結)
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