(身体的特性について)
「それが『良いもの』なのか、『悪いもの』なのかは、誰かが決めることなのかしら?」
『転生した大聖女は聖女であることをひた隠すzero 1』読了しました。完全書き下ろしの、300年前過去編です!
本編は小説家になろうで連載されているものに加筆修正されているので、完全書き下ろしというのは初ですね!嬉しい!
今巻ではセラフィーナ6歳とシリウス19歳の出会いから描かれます。
物語の根幹ともいえるフィーアの前世の謎、最強幼女×最強過保護な保護者がこれでもかという程楽しめる巻でした!
年齢差も初出ですね。13歳差かぁ……
セラフィーナについて
生まれつき目が見えない為(瞼を開かない)、治療方法を模索する間レントの森で暮らしていた。
この度王城に戻されることになり、シリウスが迎えに来る。
「おねがい、シリウス。一度も戦ったことがない聖女はじゃまだろうけど、私も騎士たちを守るために戦いたいの」
もうこの気遣いは6歳ではない……
「麻痺解除!麻痺防御!身体強化!どれ一つ取っても聖女の魔法ではありえません!これはどこにも存在しなかった、未知の魔法です‼」
『救いたい』という渇望からの開眼!最強幼女爆誕!展開はすっごくワクワクでした!
セラフィーナは「精霊の言葉」を理解し話せるため、何年にもわたって精霊たちから直接”聖女の教え“を受けていたようです。
余談ですが、ここで気になるのが精霊王の呪いと祝福を同時に受けているセルリアン。・300年前の精霊王から呪いを受けている
・初代精霊王から祝福を受け、代償に命を削られているややこしいですね。前者の「呪い」の方がセラフィーナに祝福を与えた方の精霊王でしょう。
気に入っていたセラフィーナを死に追いやった王族に、代々受け継がれる呪いをかけた……というのが有力シナリオかなと思います。後者は”コレットの時間を止める”というセルリアンの願いに対する、初代精霊王の血を引くための偶発的な祝福だと思われます。
だとしたら、一見不幸に見える私の見えない両目も、実際には祝福なのだ
代償が酷なモノであれ、セルリアンの逆行は”祝福”……善意からのものなのだと愚考します。
シリウスについて
「……攫ってでも、お前を王都に連れて行きたくなる」
ナーヴ王国角獣騎士団副団長。魔物討伐依頼が「シリウスに倒せなければ誰にも倒せない」という考えで持ち込まれる。
つまり最強。母親はアルテアガ帝国の公爵令嬢で、父親は不明。
表向きは亡きナーヴ王国王弟の子供。
セラフィーナの死後、アルテアガ帝国の皇帝になったことと関係があるのかな?
(5巻書き下ろし【side】黒皇帝(300年前)参照。明言はされていませんが黒皇帝=シリウスで間違いないでしょう。ちなみにアルテアガ帝国は、大陸の中で勢力が傑出している大国です。世界の王!という感じですね…)
そしてセラフィーナと出会ったシリウスの追加スペック(?)がこちら。
・セラフィーナをすぐ抱える
・セラフィーナが固いものを食べる時は先に砕く
過保護な保護者爆誕……
精霊について
現世では、7巻時点でまだ登場していない『精霊』という存在。
セラフィーナはレントの森で『セブン』という精霊と契約していました。
まずは精霊について基本情報をまとめてみます。
・能力が高い精霊程、赤い髪を好む
・契約すると約10倍の回復魔法が使用できる
・契約すると手の甲に契約紋が刻まれる
・精霊は大人で、成人した女性としか契約しない
・聖女が呼び出すと精霊が現れる。
セラフィーナ6歳と契約している精霊『セブン』は子供。
そして常日頃からセラフィーナと一緒……。
規格外さがよく分かるね。
ナーヴ王国王家の成り立ちについて
ーーーーナーヴ王国王家は精霊王を祖に持つ。
そのため、精霊に関する感応力は並外れて強かった。
略
『我が国の最東端にある森は、精霊王から託された「はじまりの森」なのだ。あの地には我が王国を繁栄に導いてくれる、王国の未来が詰まっている……
かなりファンタジーな導入……。
「はじまりの森」=「レントの森」だよね。
セラフィーナにはちょっと人間じゃない血が混ざってるってこと…?
・人間と恋愛婚をした王家の祖
・金の瞳であった為、セラフィーナのように同じ金の瞳を持つものに『精霊王の祝福』を与える
黒フェンリルについて
グリフォンにさらわれたセラフィーナ。
巣に連れていかれ、そこにいたのはセラフィーナサイズの赤い眼をした黒い狼(フェンリル)でした。
状況からみてグリフォンの雛用の餌として連れてこられたのに、逆にグリフォンの雛を食べてしまった黒フェンリル。この時点でかなり強いことが分かります。
なぜなら黒色は、最大最強の特別な力を持っていることを示す警告色だからだ。
そして、実際に、この大陸の頂点に位置する「二大魔獣」と呼ばれる魔物は、双方ともに黒色をしていた。
恐らく、大陸中を探したとしても、黒色の魔物はその2頭きりしかいないはずだ。
二大魔獣のうち片方は黒竜。もう片方は不明です。(フェンリルではない)
ではこの黒フェンリルは何なのか?
存在しないはずの3体目の黒い獣。
仲間であるはずのフェンリルたちが黒フェンリルを襲っていることからも、フェンリルではなく「フェンリルに擬態した何か」かもしれませんね。
今のところ不明ですが、今後も出てくるのは確かなので伏線だけまとめておきます。
・セラフィーナと「人をおそわない」という約束を交わした
・現在、王城にあるセラフィーナの庭に住み着いている
黒グリフォンが襲わなくても人間側は……二番目の「約束」が悲劇を生まないことを願いたいね
ここで疑問が浮かぶのが、前世では「二大魔獣」現世では「三大魔獣」になっているということです。
あれ?増えてる……?
ザビリアの紹介文にも、作中にも「三大魔獣」となっている為、何かが起こったようですね。
「黒フェンリル」が追加された可能性もあります。
シリウス×セラフィーナ見どころ&伏線
「一緒に連れて行って、シリウス!私はあなたを守る聖女になりたいの」
「……殺し文句だな」
最初から好感度マックスで始まる、最強×最強の13歳差カップリング。
始終セラフィーナの意志を尊重するシリウスが尊いです。
個人的見どころはこちら。
全力で甘やかすシリウス
セラフィーナの幸せな夢をかなえる為、嫌がる騎士を連れて暴虹蜂の蜂蜜採取へ。
夜中に森まで連れていかれた騎士たちはご愁傷様です。
翌朝、セラフィーナは蜂蜜たっぷりのパンケーキを食べることができました。
朝食の挿絵、最高にかわいいので是非見てほしいです!
シリウスそんな顔ができたんだ……
伏線 旅行予告
ーーこうして、オレはセラフィーナと彼女の精霊と三人で、旅行に行くことにしたのだった。
実際には、三人だけというわけにはいかず、二ダースの騎士たちが付いてきたのだが……
そして、なぜだか旅行先で、「偶然」王に遭遇するのだが……それはまた別の話だ。
zero2の予告ととっていいでしょうか……?
長い話になりそうな前置きというか、匂わせですね!
「王」というのは普通に考えればセラフィーナの父親「プロキオン王」ですが、精霊王というのも無くはなさそうです。
切ないエピローグ
そして、10年後、オレはその言葉の意味を、心底実感することになる。
『セラフィーナがいてくれる限り、オレは幸福だ』と。
ーーーオレの言葉に、間違いはなかったのだ。
逆を言えば10年後、16歳のセラフィーナが亡くなった後は不幸だと、それを実感するのだと……
最後の最後で辛すぎる、シリウスのモノローグ。
シリウスの言葉に間違いはなくとも、その考えをひっくり返してくれるセラフィーナこそが、幸せをもたらす存在です。
今巻は出会いの初期なので平和ですが、今後セラフィーナの亡くなる前後が描かれるのかと思うと身構えてしまいますね……
まとめ
セラフィーナが非常にかわいい一冊でした。
6歳とは思えない程しっかりしているというか、幼女ですが危なげが無く、お互いが「特別な存在」になるのも早く……
非常に安らかな気持ちで読めるのが良いです。
恋愛方面で障害があるならば年齢差くらいなもの…と考えて、違う、魔人と兄たちだと思い出しました。
読めば読むほど、過保護なシリウスとカノープスが離れる状況というのが思い浮かばず……
先ほど身構えると言っておきながら、セラフィーナが死ぬ前の状況が気になって仕方がありません。
しかしそれまで後10年あります。まずは……セラフィーナが「大聖女」になるまでの軌跡が知りたいですね。
ちなみに。ZEROには、アーススターノベルお決まりの店舗特典ラッシュがありません!
「初回限定版特典」のみになります。電子書籍での購入で、いつまでもついています
次巻を楽しみにしています!!
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